本日のこの日経報道に関して。新聞を購読の方は上の図を紙面にてご覧になったかもしれない。
まず、知的財産とは特許権、商標権、著作権等をいい、わかりやすい説明はこのサイトに譲る。
本題の今回の仕組みだが、日本生命保険の子会社の持つソフトの著作権を、みずほ信託が受託し日生に代わって管理するというもの。ここで、素朴な疑問が湧く。両社にとって、このスキームを使うメリットはなんであろうか?
まず、みずほ信託側だが、こちらは簡単だ。信託業務の対象を拡大して、手数料収入を拡大したいのだ。日経紙面によれば、現在の信託業法では原則として知的財産は対象外であるらしい。今回の仕組は著作権法の例外規定を利用したもので、今国会で審議中の改正信託業法が成立すれば特許権等も対象となり、ビジネス基盤は飛躍的に拡大する可能性がある。
では、利用する日生側のメリットとなるとわかりにくい。まず報道でも触れらているのが、「著作権管理の事務作業から解放される」というもの。これは確かにわかりやすいメリットだが、それだけなら、なにも信託などという仕組を使う必要はないであろう。
ここで参考になるのが経済産業省のこのPDF文書。この中に知的財産信託を活用した場合のメリットがいくつか書かれているが、私の想像による日生側の最大のメリットは、恐らくソフトの著作権を時価で譲渡して、価値を顕在化させることであろう。生保各社は内部留保を厚くしているとの報道もあり、方向性としては合致する。ただ、このPDF文書には、それを特許権のメリットとしており、著作権でも時価譲渡できるのかどうか、私にははっきりとわからない。
また、当サイトでこの記事をとりあげたのは、それが中小企業の資金調達の道を広げうるからだ。すぐれた技術を特許権などの形で保有しているが、まだ経営基盤が確立されていないベンチャー企業などは、特許権を信託銀行に託することで、資金提供者はその中小企業の倒産によるリスクから隔離され、資金調達が従来に比べ容易になる。
今後法案が通った後での各信託銀行の動き注意深く見守っていきたい。
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Posted by Ken Kodama at 2004年05月19日 14:25