本日の日経紙面のトップを飾ったこの報道。2007年4月から、厚生年金の受給の繰り下げが可能になるとのことだ。
受給の繰り下げについて説明が必要かもしれない。実は、基礎年金である国民年金については、現在でも、受給の繰り下げが可能だ。国民年金は現在支給開始年齢が65歳だが、自ら申請することによって、支給開始年齢を遅らせることができる。こんな馬鹿な申し出をする人などいないかと思われるかもしれないが、実は支給開始を遅らせる見返りに支給額が他の人に比べて多くなるという仕組みだ。
どのくらい多くなるのかといえば、一月遅らせると0.7%増える。一年遅らせると0.7×12(ヶ月)で8.4%、最高の5年間遅らせると0.7×12×5でなんと、42%も年金の手取額を増やすことができるのだ。この増加率は国民年金の話であるが、報道によれば、厚生年金でも同じ率が適用されることとなるそうである。
したがって、65歳で退職した時点でその時点の金融資産残高と今後5年間の予想支出額を計算し、今後の5年間の支出を十分賄えるのであれば、繰り下げ申請をして、額の多い年金を遅れて受給するというのは、有力な選択肢だ。
恐らくこのブログに目を通して下さる方は、40代未満であるかと思われるが、実はこの報道にもあるように、年金財政の悪化から、支給開始年齢自体の引き上げが検討されており、現在40代未満の人は、最初から年金支給開始年齢が70歳などということも十分に考えられる。したがって、支給繰下などという話は遠い将来は全く関係なくなってしまっているかもしれない。このような公的年金の先行きの不透明さが、我々国民、そしてFP業者の頭を悩ませるのである。
なお、この改正の動きに批判的なコメントを加えると、年金の受給繰り下げが申請できるのは、かなり家計が裕福な方に限られると思われる。見方を変えれば、家計が裕福な方の資産運用を国家が補助しているともいえ、所得の分配という観点からは望ましいとはいえないであろう。