伊藤園は役員退職慰労金を廃止しその未清算部分をストックオプションの付与にて行い、また同社と子会社の役員の報酬の一部を同じくストックオプションの付与にて行うと発表した。
ストックオプションとは株式をあらかじめ決められた価格で、一定期間内に自社株を購入できる権利のことである。つまり、これを与えられたものは株価が上昇すればするほど儲かるわけで、伊藤園はこれを役員報酬の一部として役員に与えたわけだから、伊藤園の役員は伊藤園の株価が上がれば上がるほど儲かるわけだ。したがって、伊藤園の株主と伊藤園の役員の利害は一致することになり、伊藤園は今以上に株主の利益のために経営を行ってくれることが期待でき、そういう観点からは株主とって望ましい動きである。
一方で、希薄化という問題もある。希薄化とはこのストックオプションが全て権利行使されたときに一株当たりの価値がそれだけ薄まってしまうことをいう。他の条件、例えば企業業績などが変わらないとすれば、発行済株式数だけ増加するのであるから、その分一株あたりの価値が低下してしまうことは、感覚的に理解できるであろう。
今回の発表では、今後ストックオプションにより発行される新株の上限を18万株としているが、かりに上限めいっぱいの新株が発行されたとしたら、伊藤園の現在の発行済株式数は約4,560万株であるので、一株あたりの価値は約0.4%低下する計算になる。発行済株式数に比べて、発行される新株数が少ないので、ほとんど影響を被らない計算になる。
なお、株式の数が増えるという点では、株式分割を想起される方もいるかもしれないが、株式分割をしても希薄化の問題は生じない。なぜなら、たとえば1株を2株に分割した場合、1株持っていた株主はもう1株もらえることになり、分割前と後では株主の保有する株式全体の価値は変わらないからだ。