非常に地味で小さな記事ですが、本日の日経紙面に私の関心を惹く記事がありました。中央三井信託銀行が国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)日本委員会と提携して、国連側に遺産寄付を申し出た人に中央三井の遺言信託を紹介するというものです。中央三井にとっては、国連という絶大なる信用力をバックにした販売窓口ができたようなものでしょうが、私にとっては、高齢者の方の「寄付」という選択肢に対する関心の高さを確認できたという意味で非常に興味深いものです。
【高齢者の自己実現について】
一般的には残すほどの遺産があれば、自分の子供にいかに多くの額を残すか節税に頭を悩ませるのでしょうが、寄付という選択をする方々も存在するわけです。どのような方が寄付をするかといえば、まず考えられるのは子供がいない方々です。また、いても関係が疎遠になってしまった方も、寄付を考えるかもしれません。また、それ以上に重要なファクターとなっていると考えるのが、自己実現ではないかと私は思うのです。自分の命はつきようとも、社会的に貢献したい、またそれにより、自分の生の痕跡を残したいと考える方が増えているからこそ、このようなビジネスが発生しているのでしょう。
少子高齢化社会の到来で「これからはシルバービジネス」と短絡的に考える方が多いのですが、終末期のケアにせよ、このような遺言信託にせよ、高齢者の自己実現と尊厳について、深く考えたものでなければ、成功は難しいと私は思います。
【遺言信託について】
ここで、遺言信託について若干説明を加えておきたいと思います。遺言信託とは信託銀行が提供するサービスで、遺言に関わる面倒な事務手続きを一手に引き受けてくれるサービスと申し上げてよいでしょう。具体的には、遺言書作成の相談から始まって、実際の作成及び保管、相続の際の財産分与の手続きまでを信託銀行が行ってくれて、そのかわりに手数料を支払うというものです。手数料の具体例としては、こちらのサイトをご参照下さい。また冒頭の記事には、「死亡後の税金対策も手掛ける」との記述がありましたが、寄付をすることにより、例えばこのサイトでいうような寄付金控除を受けることができます。節税という観点からも寄付を検討することも可能なのです。