外貨建ての投資信託の残高が10兆円を突破、過去最高となったとの日経報道がありました。中でも、日経紙面の記事によれば、国際投信投資顧問が運用する「グローバル・ソブリン・オープン」は純資産残高が3兆円を超えているとのことで、外貨建て投信ブームを牽引しているといっても過言ではないでしょう。そこで通称「グロソブ」と呼ばれる、同ファンドについて様々な角度から考えてみたいと思います。
【グロソブ人気の秘密】
なぜ、かくも多くの人がグローバル・ソブリン・オープン・ファンドを購入するのでしょうか?人気の秘密は2つの集約されると思います。
(1)投資対象の債券の格付けが高い
「ソブリン」の意味がわかれば自ずと分かることですが、グロソブは世界各国の政府もしくは世銀等の国際機関が発行する高格付けの債券のみを対象としています。アメリカ政府やドイツ政府が財政破綻することは、まず考えられません。こうした、「安心感」がグロソブ人気の第一要因となっています。
(2)毎月分配型であること
毎月決算型のグロソブは、最近では、1万口あたり毎月40円の分配金を出しています。これは税引前の数字ではありますが、単純に12倍すれば、年間で480円と、この低金利の時代には結構な額の「おこづかい」が入ってくることになるのです。
年金に代表されるように、この手の「毎月毎月ちゃりんちゃりんとおこづかいが入ってくる金融商品」に日本人は目がありません。先日ご紹介した、新生銀行の外貨預金も、この心理を巧みについた広告を展開していました。
【グロソブのリスク】
このような魅力的に見える金融商品であっても、必ずなんらかのリスクがあるものです。以下の3つのリスクがあることを、はっきりと認識せねばなりません。
(1)為替リスク
投資対象の債券のほとんどは外貨建てなのですから、当然為替リスクのある金融商品です。ただ、投資対象は米ドル、ユーロなどに分散されているため、全額ドル建ての債券を購入する場合などと比較すれば、ポートフォリオのリスク分散効果により、為替リスクは低減されてはいます。ただ、他通貨に対して円が独歩高になるケースも考えられ、そのような場合には大きな為替差損を被ることとなります。
(2)金利リスク
金利が上がれば債券価格は下落し、金利が下がれば債券価格は上昇します。したがって、投資対象の国で金利が上昇すれば、債券の価格が下がり、それに伴う損失を被ることになります。
(3)ファンド規模が大きくなることによる不都合
最後の点は、グロソブの目論見書などには記載されていませんが、一般的に、ファンドの規模が急激に大きくなると、ファンドのパフォーマンスが下がってしまうことがよくあります。たとえば、今回の新聞報道により、またグロソブ人気が高まり、多くの資金が集まってきてしまうと、ファンドマネージャーはその資金の運用先のことを考えねばなりません。それにともなって、運用対象としている債券の銘柄が増加してしまうと、注意力が散漫になってしまうという可能性もある、ということを気に留めておくべきでしょう。
【ライフプランとのミスマッチ】
こちらのサイトによれば、フィデリティ投信が行った調査によると、分配金の出る投信を買った人の約7割は分配金を使わずに貯蓄している、とのことです。もちろん、分配金をどうしようと個人の勝手なのですが、たとえば、グロソブを現在40代くらいの方が老後資金の形成のために購入されていたとしたら、私はその方に変額年金保険との比較検討を勧めます。投信の分配金には当然課税がなされるわけですが、変額年金保険のような金融商品を使えば、この課税を繰り延べることができ、長期間にわたれば、その額は無視できないものになります。(変額年金保険と投資信託の課税の違いについてはこちらのサイトをご参照下さい。)
どんなに人気のある金融商品であっても、その人のライフプランに合致しているものでなければ、その効果は半減してしまいます。グロソブの購入に関心がある方も、まずなんの目的で購入するのか、今一度深く考え直してから、購入されるとよいでしょう。
【追記】(2005年9月14日記)
当ページには検索エンジンを通して多くのアクセスをいただき、ありがとうございます。当エントリーを執筆した当時に比べて、最近では毎月分配型ファンドの利点よりも問題点に対して、私の関心は移りつつあります。「よく分からないまま商品を購入している方が多いのではないか」との疑念を深めることが多いので、その後関連するエントリーを2つ執筆いたしましたので、ご関心がある方はご一読下さい。