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2004年07月16日

ファースト・リテイリング第3四半期決算を読む

ファーストリテイリングの第3四半期の決算が発表されました。おおむね好調で通期の業績予想も上方修正していますが、以下小売業界の決算を読むときの基本的な留意点についていくつか説明したいと思います。上記リンクよりファースト・リテイリングの第3四半期決算情報を見ながら、下記を読んでいただけると幸いです。

【①前年比は既存店売上高ベースで見ること】
第3四半期の売上高は、前年比で12.8%増と表中に記載されています。この数値を見て、即座に「ユニクロ絶好調だな」と判断してはいけません。なぜなら、店舗を増やしていたとすれば、売上が増加するのは当たり前だからです。実際、コメントには「17店舗の純増」とあります。したがって、これらの新しくできた店舗の売上高を除いて前年との比較をしなければ、ユニクロが好調なのかどうかはわかりません。このような新規出店の店舗の売上高を除いた売上高のことを既存店売上高といいます。そして、コメントにあるように、第3四半期の既存店売上高は、前年同期比4.3%増となっています。この数値からユニクロは顧客からの支持を伸ばしていると判断してよいでしょう。
では、どのような場合に気をつけるべきかというと、例えば「全体の売上高が5%増加で、既存店売上高は10%減」というような場合です。このようなときは、顧客からの支持が低下しているにも関わらず、新規出店を加速させており、有効な対策を打たないと、将来的な大幅な業績悪化が心配されます。

【②売上高は客数と客単価に分解して考えること】
さらに、①の既存店売上高の増減は、客数と客単価の増減に分解して考えます。客数とはPOSレジを打った回数のことです。また客単価とは1回の買い物で購入した、平均の金額のことです。つまり、下の式のような計算式が成立するわけです。

売上高 = 客数 × 客単価

一般的に、客単価を下げるような戦略を採ると客数が増えます。つまり、安売りをすれば、それだけ多くの顧客を呼び寄せることができるというわけです。逆に、客単価を上げれば客数が減り、両者はトレードオフの関係にあるのが一般的です。
ファースト・リテイリングの第3四半期決算に戻ると、既存店客単価は前年同期比0.8%減とほぼ前年横ばいである一方、既存店客数は前年同期比5.2%増とあります。つまり、それほど値下げに頼ることなく、顧客を増加させることができるわけで、ここまで細かく見た上で、はじめて「ユニクロ好調だな」と判断できるわけなのです。

【③景気回復後のユニクロ ~長期的展望~ 】
第3のポイントは前2者と異なり、私の根拠なき推論です。
今も使われている言葉かどうか知りませんが、「ユニばれ」という言葉がありました。つまり、ユニクロは安くていいけど、それを着ていることが友達にばれると恥ずかしいというわけです。本当はユニクロなんてあまり着たくないけど、お金もないし、ただ安いから買う、という人たちが結構いたわけです。
では、こうした人達は景気が回復して、たくさんの給料をもらえるようになった後では、果たしてユニクロの服を買い続けてくれるのでしょうか?
経済学にはギッフェン財という用語があります。ふつう、大抵のものは、所得が多くなればなるほど、消費量も多くなります。例えば、酒好きな人は、所得が増えれば酒量も増えるでしょう。ところが、所得が増えると消費量が減ってしまうモノも存在し、それらがギッフェン財と呼ばれます。ギッフェン財の例として、経済学の教科書は、決まったように「アワやヒエ」を挙げます。つまり、米も買えない極貧時代にはしかたなくアワやヒエを食べてしのぐけど、通常の所得になったら、あんなまずいものは食いたくないというわけです。
ユニクロの服はギッフェン財なのかどうかは、現時点ではまだわかりませんが、仮に景気が回復した後に顧客が離れてしまう可能性があるのであれば、なんらかの対策を考えねばなりません。例えば、アメリカのギャップは「ギャップブランド」の他に、比較的高所得層を対象とした「バナナリパブリックブランド」、そして、比較的低所得層を対象とした「オールドネイビーブランド」を保有しています。これにより、企業全体として見たとき、景気変動により生ずるリスクを回避することが可能になるのです。
ファースト・リテイリング株が長期保有するに値するためには、こうした景気回復後もにらんだ展望も抱いていないと、私だったら、躊躇(ちゅうちょ)してしまいます。

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Posted by Ken Kodama at 2004年07月16日 17:33
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