天候デリバティブが東京金融先物取引所に上場されるとの日経1面の報道です。「天候デリバティブ」とはなにかについては弊社の過去記事に説明がありますので、そちらをご参照下さい。同過去記事はアクセス数が比較的多く、再び取り上げさせていただきました。
本日は別の角度からこの記事を見てみたいと思うのですが、この上場される天候デリバティブの利用者について損害保険会社を想定しているという点に引っ掛かった方が多いのではないかと思われます。日経新聞の図には、ゴルフ場などの最終利用者が損保会社と契約を結び、損保会社が東京金融先物取引所とヘッジ取引をする図が書かれています。これをみて「猛暑や冷夏をヘッジしたい中小企業などが損保会社を通さず、東京金融先物取引所と直接取引したら、中間マージンをとられず安上がりになるのではないか?」と疑問を持たれる方がいるのではないかと思われます。
実は損保会社を通さず東京金融先物取引所と直接取引した方が安上がりという点では正解なのですが、それでも中小企業が東京金融先物取引所と取引することはお勧めできません。その理由は損保会社が提供する「天候デリバティブ商品」はオプションタイプであり、上場される天候デリバティブは先物であるという違いによるものです。
損保は保険会社なのですから、保険料を支払えば困ったときだけ保険金を返してくれます。「猛暑デリバティブ」商品を損保会社から買えば、猛暑になったときだけ保険金をくれて冷夏のときは、支払った保険料は返ってこない、ということになります。
ところが、上場される先物タイプの天候デリバティブだと、先物を買っておけば、確かに猛暑になったときは高くなった先物を売却してお金が入ってくる点は同じですが、逆に冷夏になった場合、先物が値下がりしていて、損を被ることになるのです。もしゴルフ場が先物タイプの天候デリバティブを購入したとすると、猛暑の場合減収分を先物の売却益でカバーできますが、冷夏の場合、せっかく客数増による増益があっても先物で損をするので、猛暑になっても冷夏になってもトントンです。これでは商売をする意味がありません。
そのようなわけで、一般の事業法人が東京金先取引所の天候デリバティブを活用することはお勧めできないのですが、もし同取引所でオプションタイプの商品が上場されれば、これは検討に値します。ただ、損保会社側はこうした動きには当然反発してくるでしょう。
しかし、「谷連覇・野村3連覇」というニュースがありながら、この記事がトップになるあたり、やはり日本経済新聞ですね。