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2004年09月21日

大京再建と「減資による株主責任の明確化」

大京の再建に関する記事が本日の日経紙面トップを飾りました。日経紙面の記事では、減資の可能性も指摘され、以下のような記述が見られます。
『債権放棄だけではなく、損失穴埋めに資本金を取り崩す減資も活用する方向。大京の株主も一定の責任を問われる可能性が高い。』(引用終)
「減資」といえば「株主責任の明確化」。まるで枕詞のように対に使われる表現ですが、本当に「減資」をすると「株主責任」が明確になるのでしょうか?
【減資とは】
減資とは文字通り資本金を減らすことです。(有償減資と無償減資の2つのパターンがあるのですが、有償減資はあまりみられないケースなので、当エントリーでは無償減資にフォーカスすることとします。)減資をするときまった会社は、会計帳簿に以下のような仕訳を記入することとなります。

(借)資本金 XXX (貸)未処理損失 XXX

つまり「減資」をすることによってお金が動くわけでもなんでもなく、会計帳簿に仕訳が1本書き込まれるだけなのです。通常、会社に損失がでてしまった場合、翌期以降頑張って利益を出して、その損失の穴埋めをしようとするものです。しかし、こうした再建が1面で取り沙汰されるような企業の損失額は、べらぼうに巨額であるので、翌期以降の利益では消すことができず、元手である資本金を取り崩して損失を処理せざるを得ないのです。
【減資をすると株主は損をするのか?】
では、こんな仕訳を1本書くだけで、株主は損をすることになるのでしょうか?結論からいうと、減資だけでは損をしません。貸借対象表の「資本金」の金額が減ったからといって、株式の価値の減少に直結することはありません。
減資をする際、株式数には変化を与えないケースと、株式数も減らすケースの2種類があります。後者のケースは例えば「2株を1株に併合する」といったようなケースが考えられます。今まで1,000株の株主は、この場合500株の株主になってしまいます。この場合は、株主は持株数が半分になってしまうので、株式の価値も半分になってしまうのでしょうか?実は、そんなこともありません。
反対のケースを考えてみましょう。1株を2株にする「株式分割」のケースです。この場合の株式分割は1万円札を5千円札2枚に両替するようなもので、分割によって持株数が増えても、会社の価値自体に変化がなければ、持ち株の価値に変化はありません。減資で持ち株数が減るのは、逆に5千円札2枚を1万円札に両替したようなもので、同じように、会社の価値自体に変化がなければ、持ち株の価値に変化はないのです。
【ではなぜ減資により株主責任が明確になるのか???】
上記の説明で減資自体は株式の価値に変化を与えないことが分かりました。では、なぜ、新聞報道は「減資による株主責任の明確化」というフレーズを繰り返すのでしょうか?
考えられるのは、減資の直後に第三者による増資がセットで行われるケースが多いという点です。今回の大京のケースでは、銀行が債務を株式にすることにより(デット・エクイティ・スワップ)、銀行が新たな大株主として浮上します。この場合、企業全体の価値は変わらないとすると、銀行の持分が増えるわけですから、今までの株主の持分は低下します。つまり、スイカを正に今切ろうとしていたサザエさん一家に、ノリスケ一家が突然訪問し、カツオ君がむくれるようなものです。
「減資による株主責任の明確化」の理由として、考えられる2つめのポイントは、極めて精神的なものです。会計上、資本金は投資家が払い込んだ「もとで」を示しています。「もとで」を取り崩してしまう仕訳をするわけですから、これは尋常ではない・・・と新聞記者は考えているのでしょう。
本日のお話はなかなかわかりにくいかもしれませんが、株式投資をする人にとっては基本事項です。ましてや、再生関連銘柄に投資している人には必須の知識なのですが、株式投資関連のブログを見ると、基本的な知識なしに投資をしている人がいかに多いかを、知らされます。
宣伝になってしまいますが、株式投資に必須の知識を伝授するメールマガジンを発行していますので、ご興味のある方は是非、ご購読してみて下さい。

Posted by Ken Kodama at 2004年09月21日 11:16
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