本日の日経新聞の企業総合面(11ページ)に、CSR報告書を発行する動きが本格化しているとの報道がありました。CSRとはCorporate Social Responsibilityの略で企業の社会的責任のことです。企業は利潤を獲得するためのものであるから、利潤獲得についてだけ考えていればよい、とするのが従来の考え方でしたが、企業も社会の一員なのであるから、社会(環境、地域社会等)に対する配慮が必要であるとする、とするのがCSRの考え方の根本です。つまり、株主だけを見るのではなく、他のステークホルダーにも目を向けなさいというのが、CSRの意味するところです。
CSR報告書を発行した主な企業のリストが新聞紙面に掲載されていたのですが、その中から、3社についてネット上で見てみました。(全てPDFの重めの文書です。)
2~30分の時間で3者を眺めただけで、詳細に比較分析したわけではないのですが、3者の中ではユニ・チャームのものが、最も優れているように思えました。ユニ・チャームとコクヨは「CSR会計」なる試みを行っており、CSR活動を数値によって把握しようとしていますが、CSR会計自体の定義がまだはっきりしていないようで、両者のCSR会計は全く異なる様相を呈しています。コクヨのCSR会計は連結財務諸表をCSRという概念で組み替えただけのもので、これによって得られる付加的情報は乏しいように思えます。対してユニ・チャームのものは、CSRという考えのもとにステークホルダー毎に支出した費用額を抜き出し、その横に効果を明記するもので、これもまだ向上の余地はあると思いますが、コクヨのものに比べると、得られる付加的情報はかなり大きいといえるでしょう。
こうしたCSR気運の盛り上がりの背景として、日経新聞は2点を挙げています。まず、食肉偽装やリコール隠しなどの不祥事への対応という側面、そして、CSRの取り組み度合いを銘柄選択の基準とするSRI(社会的責任投資)への対応の側面という2点です。つまり、CSRはお金と人員に余裕があるから行っているのではなく、顧客からの信用の回復、IRの一環として、必要に駆られて行っているのです。中小企業経営者にとってはこうしたCSR関連活動に新たな支出を割くことは困難でしょうが、トップは常にこうした視点をもって経営にあたることが、ビジネスの存続上、不可欠であると私は考えます。