さて、本日の話題は昨日と逆のパターンです。NTTの100%子会社で、東京都心にオフィスビルを所有するNTT都市開発が、今年中にも東京証券取引所に株式を上場する見通しであるとの報道です。
昨日の東急電鉄の東急百貨店の完全子会社化について、①事業領域の重複を排除し②利害の相反する少数株主を排除できるという2つのメリットを述べましたが、子会社上場を行うとこれらが、逆にデメリットとして浮上してくるのです。また、より一般的な話として、FP総研さんのレポートは子会社上場により、子会社のキャッシュフローを成長分野にふりむけることができなくなる、という趣旨の論旨を展開しています。こうした論旨に照らすと、NTTの子会社上場は失策なのでしょうか?
色々な考え方があるでしょうが、私はNTT都市開発の上場は正解の選択肢であると思います。それはNTT都市開発のビジネスとNTT本体のビジネスの関連性にあります。NTT都市開発という会社は、旧電電公社が抱えていた遊休地の開発を目的として設立された会社です。つまり、NTTの本業である通信事業との関連性は希薄です。NTTがNTT都市開発株の保有を続ける限り、NTTは地価の変動という、本業に全く関連のないリスクに晒され続けるのです。NTT都市開発株を上場することにより、地価変動リスクが軽減されるだけでなく、株売却により巨額のキャッシュを手にすることができ、それを通信事業関連の投資・M&Aに振り向けることが可能となるのです。
近年の経営学の潮流では、コア・コンピタンスに経営資源を集中させることがよしとされており、NTTの今回の動きはまさしくこの流れの中にあるものです。しかし、十数年前は「日本的経営」の一つとして、土地保有による「含み経営」が絶賛されていました。もしかしたら、また十年後には経営の考え方そのものが変わっているのかもしれませんね。