銀行のビジネスモデルが変わりつつあり、大口融資先への融資の利ざやが縮小する中、中小企業向け融資や住宅ローンを核とするリテール市場への本格的進出を狙おうとしているのはみなさんご存知の通りです。
そんな中、中小企業向け融資の新たな試みに関する報道が、本日も日経新聞に掲載されました。「大手銀行が中小企業向けの資金繰り支援融資に知恵を絞っている」との報道で、UFJとりそな銀行の商品が紹介されています。両者とも売上債権をバックにしたものとなっており、UFJのものは売掛金残高の枠内で融資を行うが売掛債権を担保にとらないという点で目新しいと思います。
新聞報道等から見る限り、中小企業向けの融資は3つの方向に向かって進展している感があります。
第一の方向性は、当記事に紹介されているような、売掛債権をバックにした融資です。売掛債権を売却するのか、担保にとるのか、それとも今回のUFJのように無担保で貸し出すのか、技術的な差異はありますが、売掛債権をバックにしているという点で共通しています。こうした融資において貸し出す側にとって重要なのが、リアルタイムで売掛債権の回収状況を把握するという点で、今回のUFJの融資においては、UFJに開設した口座での売掛金回収が前提となっています。また弊社サイト6月8日に紹介した、ガリアプラス社とミロクドットコム社共同の売掛債権担保融資では、会社の帳簿を会計ASPを通じて融資先に開示することで、より低利で融資を受けることが可能となっており、趣旨は同じと考えてよいでしょう。売上債権をバックとした融資は①リアルタイムで回収状況を把握し、②銀行側のシステムで定量的なリスクを人手(コスト)をかけず把握することが、銀行が競争に勝つための条件となるでしょう。
第二の方向性は知的財産信託を活用したもので、ここでは知的財産から生み出されるキャッシュフローがバックとなっています。こちらについても弊社サイト7月6日付けの記事で紹介済みですが、このタイプでの融資において重要なファクターとなるのが、知的財産の評価法であることはいうまでもありません。
第三の方向性がいわゆるリレーションシップバンキングの考え方に基づくもので、私が新聞を読み落としているだけなのか、「リレーションシップバンキング」という文字が新聞紙上を躍るのを見かけた記憶があまりありません。このタイプの融資では、上記2つのような定量的な情報より、経営者の資質といった定性的な情報をいかにして入手するかが重要となってきます。
土地がなければ融資が受けられないという時代からは確実に変化していることが窺えます。融資をする銀行も、受ける中小企業も、そして私のようなコンサルタントも、マインドを切り替えないと、新しい時代を乗り越えていくことはできません。