昨日の日経新聞で企業買収価値ランキングなるものが発表されました。また、本日発売の東洋経済ではEVA、MVAランキングなるものが発表されています。どちらも、なんとなく会社の価値のランキング、といった感じがしますが、両者の順位は大きく異なります。この違いはなぜ生じるのでしょうか?
まず、EVAですが、これは単年度のフローの概念なので、とりあえず除外しておきます。MVAと日経の企業買収価値の違いですが、両者の計算式を記述しておきましょう。
【東洋経済のMVA】
MVA = 株式時価総額 + 負債(簿価) - 投下資本(簿価)
【日経新聞の企業買収価値】
企業買収価値 = 株式時価総額 + 負債(簿価) - 金融資産(簿価=時価)
両者とも出発点として株式時価総額と負債を足し合わせている点では同じですが、差し引くものがMVAでは投下資本、企業買収価値では金融資産と異なる点が、ランキングの相違に反映されています。
例えば東洋経済によればトヨタのMVAは58,590億円で投下資本は159,184億円とでていますので、両者を足し合わせると、217,774億円となり、これが株式時価総額と負債の合計額ということになります。ここから日経新聞に記載されている金融資産の43,659億円を差し引くと174,115億円となり、日経新聞の企業買収価値である184,297億円とかなり数値が近づきます。依然として一千億円近くの差異が残るのは、株式時価の測定時点の差異(東洋経済は2004年3月末、日経新聞は2004年9月末)から生じていると推測されます。
東洋経済ではランキングが上位にきているものの、日経新聞ではランキングが下位に甘んじている企業は、巨額の設備投資を必要としない企業で、いわゆる「ネット系」の企業が多いです。ヤフー(東洋経済 3位 VS 日経 14位)、ソフトバンク(東洋経済 9位 VS 日経 35位)、楽天(東洋経済 35位 VS 日経 99位)などが顕著な例と言えるでしょう。
逆に日経で上位で東洋経済で下位に甘んじているのは設備資産が巨額の企業で、電力会社が顕著な例で、東電(日経 2位 VS 東洋経済 17位)、関電(日経 9位 VS 61位)等となっています。
両者ともに株式市場の時価評価を出発点としており、ご存知のように株式市場は必ずしも合理的に動くとは限りません。そこで、より理論的に企業価値を求めようとするのであれば、企業の営む事業から生み出される将来のキャッシュフローをビジネスプランで予測し、それを現在価値に割り引いて、いくつかの調整を経て企業価値を求めるというアプローチをとることとなります。