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2004年11月02日

(東洋経済には書いていない)MVAの意味

昨日はばたばたしており、昨日のエントリーを読み返してみると、数値の差異分析に終始しており、あまり本質的な問題に触れている感がありません。
昨日のエントリーをお読みいただいた方は、以下のような疑問を持たれたことと思います。
「なぜ負債と株式の時価総額を足したものから、投下資本を差し引いた金額が意味をもつのか???」
これは最初に私がMVAに出会ったときの根源的な疑問でもあり、以下には自分の理解の整理という意味も含めて、MVAの意味するところを解説してみたいと思います。

【企業価値の測定 ①B/Sの右側からのアプローチ】
まず、企業価値を測定するには大きくわけて、2つのアプローチがあります。第一にはB/Sの右側からアプローチする方法で、第二にはB/Sの左側からアプローチする方法です。
B/Sの右側は、ご存知の通り、負債と自己資本しかありません。これらは資金の提供者を表し、資金の提供者の持分である負債と株式の時価評価額を足し合わせることにより企業価値を求めようという方法です。数式で書くと、以下のように表されます。

企業価値 = 負債の時価 + 株式の時価総額

株式の時価総額は、その時点の株価と発行済株式数を掛け合わせればよいため、比較的簡単に求められます。
負債については利払いのタイミング等を把握して割引率を適用して求めねばならないため、いわゆる「ランキングもの」のために負債の時価を算出することは、事務の手間がかかりすぎ、実質的に不可能です。日経も東洋経済も、そうした制約から負債については、「時価」としたいところを「簿価」で代用しているのです。

【企業価値の測定 ②B/Sの左側からのアプローチ】
もうひとつの企業価値の測定方法が、B/Sの左側、すなわち、資産からアプローチする方法です。現在の理論では、どのような資産であれ、その資産が将来生み出すキャッシュフローを現在価値に割り引いたものが、その資産の評価額として妥当である、という考え方が一般的です。企業とて、お金を生み出す資産であることにかわりはないのですがから、企業価値は以下の算式で求めることができます。

企業価値 = 将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いたもの

これが、俗にいうDCF法による企業価値の測定方法ということになります。
資産サイドからアプローチする方法にDCF法とならんで、エコノミック・プロフィット法なる測定方法があります。以下に算式を掲げます。

企業価値 = 投下資本 + 将来のエコノミック・プロフィットの現在価値の総和

DCF法の計算結果もエコノミック・プロフィット法の計算結果も一致するのですが、エコノミック・プロフィット法の計算式は、投資元本とそこから生み出される経済的付加価値をわけた、とイメージすると分かりやすいでしょう。この、「エコノミック・プロフィット」はEVAと同義であるため、計算式は、以下のようになります。

企業価値 = 投下資本 + 将来のEVAの現在価値の総和

【①と②のアプローチを統合する】
さて、左側からアプローチする方法も、右側からアプローチする方法も、どちらも同じ「企業価値」を求めるものなのですから、両者を等号でつないでみます。

負債の時価 + 株式の時価総額 = 投下資本 + 将来のEVAの現在価値の総和

株式の時価総額は先ほど述べたように簡単に求められますし、負債と投下資本についても簡単にB/Sから入手できます。問題なのは、将来のEVAを推計することで、これはたとえ内部データへのアクセスが自由である、当該企業の経営企画担当者にとっても難しい作業です。それをすでにわかっているものから、引き算で求めましょう、というのがMVAの算式の意味するところです。

MVA = 将来のEVAの現在価値の総和 = 負債の時価 + 株式の時価総額 - 投下資本

つまり、MVAというのはその企業が将来にわたって生み出す経済的付加価値を、株式市場での評価から逆算したものであるということができるのです。

Posted by Ken Kodama at 2004年11月02日 14:17
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