東京三菱銀行とみずほコーポレート銀行は年内に貸出債権の売買仲介に共同で乗り出して、第1弾として三菱商事向けの貸出債権(最大500億円)を対象にした売買市場をつくるとの報道です。
このローンの転売市場を必要としている背景に、「シンジケートローン」なるものがあります。さてシンジケートローンとは一体なんなのでしょうか?
【シンジケートローンとは】
シンジケートローンは、複数の金融機関がシンジケート団を組んで、それぞれの銀行が同じ契約書で、同じ条件で実行される融資のことで「協調融資」とも呼ばれます。こうしたタイプのローンが広まってきた背景としては、銀行側の事情があり、近年クレジット(与信)の管理が精緻化してきており、たとえよい融資案件と思われるものであっても、一つの銀行が単独でB/Sに巨額の資産を計上して融資を実行することはリスク管理の観点から好ましいと考えられていなく、したがって、他の銀行とチームを組んで融資を実行するわけです。
シンジケートローンには2つの形態があり、短期の運転資金に対応するのが「コミットメントライン」で、3~10年の長期資金に対応するのが「タームローン」です。タームローンの方は、長期の融資がシンジケート団により実行されると考えてよいのですが、コミットメントラインは多少理解しにくいかもしれません。
コミットメントラインとは、かみくだいていうと、融資設定枠をシンジケート団との間で設定して、その枠内であれば、「借りたい額をいつでも借りれる仕組み」といってよいでしょう。例えば融資枠10億円を設定すれば、ビジネスの成長などで運転資金が必要になった場合は、そのときに新たな契約を結ぶことなく運転資金を機動的に調達できるというメリットがあります。ただし、設定された枠に対して、銀行に手数料を払わねばならず、いつでもお金を借りられる保険料のようなものと考えて差し支えないでしょう。銀行側も資産を増やさず手数料収入が得られるため、メリットがあるわけです。このコミットメントラインは協調融資の形態をとってシンジケート団と取り交わされることも、また個別の銀行と相対で取り交わされることもあり、必ずしもシンジケートローンという枠内で行われるものではありません。
【中小企業のシンジケートローンの活用】
こちらの日銀のHPでは、「3」でコミットメントラインの活用事例が、「4」でタームローンタイプのシンジケートローンの活用事例が紹介されています。中小企業がコミットメントラインを活用するメリットは①資金を機動的に調達できることと、②必要なときに借りればよいのでB/Sを圧縮できることです。
またタームローンタイプのシンジケートローンを活用するメリットは①単独行では実現できないローンが可能になる点であるのは分かりやすいですが、②シンジケート団に財務状況を開示する「デットIR」のノウハウが将来、株式公開を志向するときに大いに役立つ点であるというのは、面白いメリットです。
こちらの富士総研のレポートの5ページでは、中小企業がシンジケートローンを活用したくない理由の第二位として「利用するメリットがよくわからない」が挙げられているのは、なんとも残念です。一中小企業診断士として、こうした情報不足の解消に役立てればと思い、本日のエントリーを執筆しました。