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2004年11月08日

株式持合いが株価下落を招く???

本日の日経新聞9ページの「経営の視点」と題したコラムに西武株を購入した側の理由が書かれていました。そのうちの1つに「株式持合いによる株主安定化」があったのですが、「株主安定化が株価下落につながる危険性もある」との興味深い記述があります。安定株主工作が株価下落につながるというのは、感覚的になんとも理解しがたい現象です。なぜこのようなことが起こりうるのでしょうか?
【機関投資家の運用スタイル アクティブ VS パッシブ】
この現象の真因を探るには、機関投資家の運用手法を知る必要があります。機関投資家が株式での運用を行うスタイルは、大きく分けて2つのタイプに分類できます。第一がアクティブという手法で、値上がりしそうな株式を選別し、積極的に投資を行う方法です。第二がパッシブと呼ばれる手法で、ひたすら日経平均やTOPIXのような株価指数に追従しようとするスタイルです。後者においては、個々の銘柄分析などは行わず、コンピューターシステムを使って、指数に連動するような売買注文が一括で出されるのが特徴です。
【浮動株指数とはなんなのか?】
TOPIXという株価指数は、それぞれの会社の株価がその会社の時価総額でウェイトづけられています。つまり、時価総額が大変大きいトヨタの株価が大きく変動すれば、TOPIXへの影響も大きくなりますが、時価総額の小さな会社の株価が乱高下したとしても、TOPIXの動きにはあまり影響がありません。
ですからパッシブスタイルをつらぬこうとする機関投資家はインデックスに追従することが目的なのですから、トヨタ株は多めに保有しますし、時価総額の小さい会社はそれほど保有しません。
しかし、こんな極端な例を考えてみて下さい。どちらも時価総額が同じ1兆円の企業2社で、A社は株式のうち90%は依然として創業者一族が握っていて市場に出回ることがない会社で(実際にはありえませんが)、B社は逆に株主の90%が個人投資家であったとします。インデックスに追従しようと機関投資家が買い注文を入れると、A社株式は10%しか市場に出回っていないため、株価が急上昇しますが、B社株式の値上がりはそれほどではありません。市場に出回っている株(浮動株)が少ないほど、需給の動きをもろに受けて乱高下してしまうため、そうした不都合をインデックスを代えることによって解消しようとするのが浮動株指数なのです。つまり株価指数を計算するときに、個々の株価のウェイトづけを時価総額全体ではなく、市場に出回っている株式の時価総額のみでウェイトづけして計算された指数が浮動株指数なのです。
先程の例でいえば、A社株式については、B社株式の9分の1のウェイトしか株価指数にインパクトを与えないため、機関投資家の買い注文は少なくてすむわけです。
【ではなぜ株式持合いが株価下落を招くのか?】
ここまでくれば、上記の質問の答えは自明でしょう。株式持合いにより取得された株式は原則的に市場に出回らないために、その会社の浮動株比率は減少し、インデックスに与えるインパクトは小さくなります。機関投資家は自らのポートフォリオを浮動株をベースにしたインデックに連動させるために、「調整」のための売り注文が一時的に市場にまとまって出されることが考えられます。こうした一時的な売り注文があるため、日経新聞は「株主安定化が株価下落につながる危険性もある」としているわけです。

Posted by Ken Kodama at 2004年11月08日 11:25
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