ソニー傘下の金融持ち株会社、ソニーフィナンシャルホールディングスは2006年春にも株式を上場する方針を固めたとの報道です。ソニーフィナンシャルホールディングスは、ソニー銀行、ソニー生命保険、ソニー損害保険の三社の持株会社で今年4月に設立され、その上位にソニー本体があることから、いわゆる「中間持株会社」といわれる形態の会社です。本日は、中間持株会社を設立して上場する意義について、私個人の考えをまとめてみたいと思います。
【「中間持株会社」は上場してはじめて意味をもつ】
中間持株会社を積極的に展開する企業グループとしてはソフトバンクグループが有名です。中間持株会社も当然、一つの法人ですから、それを設立するとなると、設立のための事務コストや、毎期毎期の経理事務などのコストが発生することとなります。そうしたコスト負担を背負ってまで、中間持株会社を設立するメリットとはなんなのでしょうか?
中間持株会社は上場されてはじめて意味をもつのだと私は考えます。中間持株会社が非公開であれば、ひとつ余計な法人ができただけで、コスト増の要因となるだけです。しかし、これを上場するとなると、バラで上場する場合より、その傘下の企業のシナジーが市場で評価され、より高い株価で評価されうるからです。つまり、「ソニー銀行+ソニー生命保険+ソニー損害保険<ソニーファイナンシャルホールディングス」の不等式を目論でいるのでしょう。ソニーが中間持ち株会社を設立したのが今年4月で上場を発表するまで1年足らずですから、当初から上場を視野に入れての設立であったのでしょう。また、ソフトバンクグループの中間持株会社もみな上場されていることも、これを裏付けているといえるでしょう。
【ソニーが金融持株子会社を上場することは正解なのか?】
中間持株会社は上場してはじめて意味をもつのだとして、では、そもそもソニーは金融持株会社を上場すべきだったのでしょうか?私は概ね正解だったと考えます。
当サイトで先日、東急の百貨店完全子会社化を取り上げました。これは、上場している企業を非公開にする、今回のソニーのケースとは全く逆のもので、その背景には以下の理由がありました。
①事業領域重複の排除を通した相乗効果
②親会社と利害の相反する少数株主の排除
これを、今回のソニーにあてはめて考えると、まず最初の事業領域の重複についてですが、ソニーのビジネスを考えると金融と他部門ではほとんど重複は生じえないと考えられ、この点からのデメリットはないでしょう。また二点目の「利害の反する少数株主」とは、主に配当としてキャッシュが外部に流出してしまう点に関してですが、金融は成長期にあり、まだ刈り入れの段階に入っていないため、現段階では配当すべき金額もそれほどないはずですから、心配する必要はないでしょう。
逆に、3社のシナジーを株価として顕在させ、資金調達を行うことにより、新聞でも指摘されているようなシステム投資にまわすことも可能となります。金融はシステムを核とした装置産業と考えられており、積極投資の後押しが可能となるのであれば、今回の金融持株会社の上場は合理的な選択肢であったと考えられます。
一点、気にかかるのは将来、例えば10年後くらいに、金融が成熟期に入り、刈り入れの段階に入ったときの青写真を描いているかどうか、という点です。そのとき、再び完全子会社化するのか、あるいは上場を続けるのかによって、長期投資スタンスの投資家の態度は変わってくると考えられるからです。