執筆者のプロフィールはこちら
  最近のニュース・レビュー記事はこちら new.gif

2004年11月18日

総合商社の行く末

三菱商事がいすゞ自動車への出資を発表するとともに、伊藤忠がタワーレコードへの出資を発表しました。貿易仲介をドメインとしていた総合商社は、いわゆる「中抜き」の脅威にさらされ、その結果の選択が投融資事業へのシフトでした。しかし、こうした方向性の転換に、個人的には疑問があります。
第一には、こうしたシフトはここ10年くらいのものであると思いますが、現在の投融資ビジネスで意思決定権を握っているのは40代くらいの人々であるはずで、彼等はまさしく貿易仲介でキャリアを築いてきた人々で、投融資の経験はごく少ないはずです。投融資の専門家を商社が外部から積極的に登用しているという話はききません。確かに貿易仲介を行う上で幅広い業界の内部情報を深く蓄積することは可能ですが、だからといって、株をかいまくるということには直結しないはずです。商社の方とは若干面識もあり、その優秀さは認めますが、こうした投融資ビジネスを手がけるには十分な経験を必要とするのではないでしょうか?
第二の疑問は、商社がこうした業態転換を行うにあたって、自らのコアコンピタンスを「ブランド」と「なんでもやる」という点に求めた点です。「なんでもできる」をコアコンピタンスにビジネスの転換を図った成功事例としてはIBMが有名ですが、IBMですら「IT」というしばりがありますが、商社の場合はなんのしばりも私に見えません。ブランドについても、確かに総合商社が築いたブランドは強固なものですが、それを足がかりに投融資を手がけるのには、危うさを感じます。
第三の疑問は、総合商社が脱貿易金融の選択肢として、みな横並びで投融資を掲げている点です。もっと多様な業態転換のあり方があってよいはずなのに、横並びで同じ方向に業態転換している点に大きな違和感を覚えますし、そうした横並び思想から脱しきれない経営トップを抱える企業が、全て成功するとは、考えにくいです。
私はまだ読んでいないのですが、総合商社のビジネスモデルに関する論文を2つ発見しましたので、関心のある方は是非目を通してみて下さい。

格付け基準:日本の総合商社-ビジネスモデルの変遷が信用力に及ぼす影響(スタンダード・アンド・プアーズ)

総合商社の新ビジネスモデル(本文は英語)

Posted by Ken Kodama at 2004年11月18日 12:57
Comments