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2004年11月26日

自動車鋼材需給ひっ迫とSCMの更なる深化

トヨタ自動車は鋼材需給のひっ迫が長期化するとみて、アジアの4大鉄鋼メーカーを軸とする鋼材の新たな調達体制を構築するとの報道です。また、昨日は日産の鋼材調達難を背景とした操業停止が報じられました。数年前にゴーン氏が鉄鋼業界に冷たい仕打ちをした反動、といったような浅薄な報道も見受けますが、円高や貿易摩擦等の過去の数々の難題を克服してパワーアップしてきた日本の自動車業界は、今回のこの難題も成長へのバネにしてくれるであろうと期待しています。本日の日経新聞には解決の方向性を示唆する記述がいくつか見られます。順に検討してみたいと思います。
【サプライヤーとの長期的関係の構築】
まず、以下の日経新聞3ページの記述を見てみましょう。
『トヨタは先手を打ち、自動車生産に必要な鋼板を約五百種に絞り込み、その安定供給を新日鉄とJFEの二社に求める。一方でポスコ、上海宝鋼からの調達本格化は長期的に新日鉄、JFEの値上げ要請をけん制する思惑がある。』(引用終)
複数のサプライヤーと長期的関係を構築し、サプライヤー間で競わせるというのはトヨタのお家芸といえるでしょう。日産についても先日の報道で、部品のサプライヤーの選定のあたって、今後は技術力のある部品会社を選び、資本関係を持たないまま長期安定的な「系列関係」を築く方針に転換するとの報道がありました。系列の負の面に苦しめられてきた日産ですから、その反省にたった上で長期的関係をサプライヤーと構築していくことでしょう。
【SCMの更なる深化】
SCMとは、サプライヤーも含めた企業グループで需要予測データを共有し、在庫量などを単一企業レベルではなく、サプライチェーン全体の中での最適化を目指そうとする考え方のことです。トヨタグループなどは、SCMなどという用語が登場する前から、既にこうした考え方で生産を行っていたものと考えられます。ただ、今回の鋼材需給ひっ迫への対応ぶりから推測する限りでは、このSCMの輪の中に鋼材メーカーは含まれていなかったとみるべきでしょう。
SCMを突き詰めて考えるならば、原材料である鋼材メーカー、そして鋼材の原材料となる鉄鉱石まで遡って、サプライチェーンを定義せねばならないでしょう。こうした事態に直面するまでは、SCMを仲良しグループの間でとどめておいた感が否めません。日経新聞には以下の記述があります。
『さらに鉄鋼拡大の足を引っ張っているのが原料に使う鉄鉱石、石炭の不足だ。ブラジルやオーストラリアの資源大手は増産計画を打ち出しているが、中国などいわゆるBRICs地域での鉄鋼生産の拡大に追いつかず「一~二年は需給のひっ迫が続く見通し」(JFEスチール)という。』(引用終)
今回の問題の最も理想的な解決策は、SCMをサプライチェーンの末端まで浸透させることであると考えます。また、このようにSCMを究極まで分解して考えることは、先日のエントリーにて書いたBCP(Business Continuity Plan)を考える上で、有意義であると思われます。
自動車業界がこの逆境をどう切り抜けていくのか、注目していきたいと思います。

Posted by Ken Kodama at 2004年11月26日 10:09
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