武田國男氏の私の履歴書が、本日をもって最終回となってしまいました。今回の私の履歴書は特に楽しみにされていた方が多いと思います。
先日のエントリーにて、月の半ばになったにも関わらず、武田國男氏の名経営者の片鱗すら現れず、この先どういう展開になるのだろう、との感想を書きました。シリーズを終えて振り返ってみると、武田氏が化けた最大の理由は「アメリカでの職務経験」にあると考えてよいでしょう。そして、同じく名経営者として名高く、アメリカでの職務経験が大変大きな影響を与えたと公言しているのが、キャノンの御手洗冨士夫社長です。
キャノンの御手洗氏は、利益を水増しする粉飾を指摘したアメリカの税務署の担当者の言葉が印象的であったと語っています。
「ミスター・御手洗、これだけしか利益のでないビジネスなら、会社をたたんで残ったお金を定期預金にしなさい。」
これが税務署員のアドバイスですが、これは他ならぬ投資利益率(ROI)のことを語っているのであり、売上高を利益より重視していたり、あるいは利益を重視していても売上高との対比でしか考えないのが、多くの日本企業の実態です。投下資本に対する利益率を重視するというコンセプトを経営者が肌で学んできたため、キャノンはずっと元気な会社でい続けられるのでしょう。武田氏の場合、「私の履歴書」という読み物としての性格を配慮してか、そうした財務的な硬い話は登場しませんでしたが、交渉術といった仕事のプロセスの違いに関して影響を受けたとの趣旨の記述がありました。
アメリカで教育を受けたり、働いたりした経験を持つ経営者は少なくないですが、そうした経営者連と2氏を分けるのは、米国流の経営と日本の風土の融和を考えた点であり、それは特に御手洗氏において顕著でしょう。富士通などがあまり深い考えなしに、米国流の経営手法(成果主義等)を導入して右往左往している顕著な例といえるでしょう。一言でいうなら、陳腐な四字熟語ですが、和魂洋才が2氏を際立たせる真髄なのではないでしょうか。