UFJ銀行の検査妨害事件で、元副頭取ら3人が銀行法違反(検査忌避)容疑で逮捕されたとの報道です。本日の日経の社説は同記事を取り上げ、「UFJ銀だけでなく、どの企業にとっても法令遵守という当然のことの重要さをもう一度確認する機会にしたい(引用終)。」と結び、これは企業側の問題であるとしています。もちろん、この認識に間違いはないのですが、検査忌避への真に抜本的な対策を考えるのであれば、監督官庁側の中長期的な努力が必要になると私は思います。
同社説では沖原頭取の反省の言葉として「内部管理や法令遵守の意識が脆弱な企業風土があった(引用終)」を引用しています。「個」の責任を「風土」という形のないものになすりつけようとする無責任な発言ともとれますが、一方で、自ら会社全体で法令遵守の意識に乏しいと認める開き直りの発言ともとれます。我々は、「では何がそのような風土を生み出してしまったのか?」と問いを深めるべきでしょう。
私は検査忌避を増長させるような企業風土があったとすれば、その原因は監督官庁の側に跳ね返ってくると思っています。一言でいえば、監督官庁の人材に法令遵守を徹底させうるだけの資質が備わっているのかどうか、という点です。その資質とは①モラルと②業界知識の2点です。
モラルについては、私から申し上げるまでもないですが、金融庁の役人にはかつてノーパンしゃぶしゃぶ接待にほいほい出かけていってしまった人々が含まれています。また省庁は異なりますが、厚生労働省の勤務実態がないといわれる監修料の受取や、年金資金の巨額の蕩尽などを考えると、「こうした役人に法令遵守うんぬんを言われる筋合いはない」と考えるのが人間心理というものでしょう。日本のビジネスの中枢をチェックするわけですから、監督官庁側にも高潔な人材が求められることは、当然の道理だと思います。
二点目の業界知識については、金融業界人はプライドの塊であるということを理解する必要があり、そのプライドの裏打ちするのが高い学歴と、最先端の金融技術に通じているという自負です。金融業界の人は役人やマスコミを、「全く知識がない」といってとかくバカにしがちです。普段バカにしている相手から検査を受ければ、その検査そのものをバカにしてしまうのは目に見えています。中途採用や人材の交流により金融庁は最先端の金融技術の習得に努めねばなりませんが、この点については金融庁も努力している点が伺えます。
「検査」が有効であるには、検査する側に十分なモラルと知識があることが前提となります。今回の事件を一民間企業を叩く表層的な反省に終わらせることなく、監督官庁の高度化につなげていかねばなりません。