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2004年12月08日

SCMとBCPは両立するのか ~LNG輸出の削減~

最近、このエントリーを書く際のポリシーとして、できるだけ日経新聞で大きく取り上げられた記事に関するレビューを書こうと努めております。日経新聞の編集に私が踊らされているのか、本日のトップを飾ったインドネシアのLNG輸出削減の報道にしても、先日取り上げた自動車鋼材の問題にしても、昨日の信越化学の動きにしても、共通するテーマはサプライ(調達)のリスク管理といえるでしょう。
近年のSCM(サプライチェーンマネジメント)の潮流により、製造業は一企業のみならず企業グループ間での在庫量の削減に努め、今までの手法では得られなかった効率性、ひいては収益性を実現させています。
しかし、収益性と安全性は常にトレードオフの関係にあります。BCP(Business Continuity Plan)とは、災害等の緊急時においても企業活動を継続させていくために、事前に作成される計画のことで、コンティンジェンシープランの一種と考えてよいでしょう。日産も収益性を追及するあまりに鋼材不足での対策が後手に回ってしまいましたが、ゴーン氏はこの課題への対策として後戻りは考えておらず、SCMとBCPの同時追及を模索していく考えのようです。SCMとBCP、すなわち効率性(収益性)と安全性は両立し得るのでしょうか?
こうした、深遠な問題を考えるにあたっては、まず製造業をとりまくリスク要因を明らかにしていくことが有効でしょう。先日紹介した下記の論文では、製造業のサプライチェーンを考える上での今日的なリスク要因を列挙しており、昨今の新聞報道の問題の真因がずばり指摘されている部分もあり有用であると思われるため、以下に拙訳を記しておきたいと思います。

論文(英語) Traditional Threats and New Risk Complexities have Manufacturing Environments Spinning

●東南アジア、東欧、中南米等の新興国のインフラへの依存
●企業の経営システムが機能し得るように情報コミュニケーションシステムを整備しておく必要性
●ジャスト・イン・タイムでの製造をサポートしていく上で、原材料の段階と在庫管理の重要性が増していること
●納期と価格を最優先して単一のサプライヤーに依存してしまった場合に大きな損失を被ってしまう可能性
●地域的な一極集中が高まりすぎてしまった場合のリスク
●バックオフィス機能をアウトソーシングした場合に失われる柔軟性と、増加してしまう依存性
●特に外国のサプライヤーやパートナーと組む時に信頼度と透明性が高い運用手続きを維持すること
●ナレッジ・マネジメントシステムの整備の重要性
●ボトルネックや機能的な相互依存への早急な対処
●インパクトと許容度に応じてリスク要因に優先順位をつけること

今回のLNGの問題に限って言えば、横並びと言われた電力業界にもリスク管理に巧拙が見られ、東京電力や東北電力は調達先の多様化により影響を少なくとどめられたものの、関電は急きょ「他の電力・ガス会社からの融通で賄う」方針を決めたとのことであり、手厳しくいえばこの問題に対して無策であったことが露呈してしまったことになります。
収益性と安全性のトレードオフはビジネスの永遠の課題であり、今にはじまったことではありませんが、時代の変化を受けて、常に最重要な経営課題の一つと位置づけて考え直していくことが重要であると思われます。

Posted by Ken Kodama at 2004年12月08日 14:29
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