『ショッピングセンター(SC)運営大手のダイヤモンドシティは来店客の性別や年齢層を自動判別するシステムの実証実験を始めた』との報道です。入店者の顔をカメラで撮影し、画像により年齢・性別を判断しようというのが、新システムの仕組みの基本です。
現在でも、ある程度の規模がある小売店舗は、入口に赤外線センサーを装備し、店舗に入った「入店者数」をカウントしています。小売業界が月次速報等で発表する、「客数」なる数値はこの入店者数とは異なり、実際に品物を買い上げた人数のことであり、赤外線センサーではなく、POSレジにより把握されます。この「入店者数」を分母にし、「買上客数」を分子にした比率が「買上率」又はコンバージョンと呼ばれ、これらの数値を分けて認識することが重要です。
例えば売上が減少しているとして、その原因が入店客数の減少にあるのであれば、より多くのお客様をお店に呼んでこなければ始まらないわけですから、広告を打つ等の対策が必要となります。対して、売上の減少の原因が買上率の減少にあれば、お客様はお店に来ていただいても魅力的な商品がないから購入しないのですから、商品構成を刷新したり、接客を積極的に行う等の対策が必要になり、数値を分けて把握することにより、原因に的確にヒットした対策を打つことが可能となるのです。こうした考え方はネットショップにも導入されており、トラフィック・コンバージョン等の数値データはネットショップの場合は、アクセスログを加工することにより安価で得られるため、ネットショップの方が、現在では進んだ分析が可能となっています。
さて、今回のシステムですが、実際の店舗(モルタル)において、来店客数のデータに「年齢層」と「性別」という属性データを付与することが可能になります。マクドナルドのレジを昔見たとき、顧客の年齢層を入力するボタンがありましたが、ダイヤモンドシティ内の店舗のPOSレジにも顧客の属性を認識する機能があるとすれば、年齢層別、性別毎の買上率を把握することが可能となります。
もちろん、データが増えればより詳細な分析が可能となり、このシステムから得られるデータが有用であるのは間違いありません。反面、店舗に入るだけで顔写真を撮影されるということが分かっていれば、お客様はどう思うでしょうか?『プライバシーに配慮し画像はすぐ消去する。(引用)』とのことですが、やはり顔写真をとられて、年齢を識別されるというのは、特に女性にとっては、嫌な話でしょう。
この報道自体がダイヤモンドシティへの来店客数にどのような影響を及ぼすのか見極めた上で、他企業は導入を考えても遅くはないと思います。