再生機構がダイエーとミサワの支援を正式に決定したとの報道です。新聞紙面によれば、「『(店舗などの)自社保有』『事業多角化・拡大路線』『全国展開へのこだわり』『低価格路線への過度の依存』のダイエーの特色だった四項目について、全面的に決別する方針を表明」したとのことです。まるで、MBAのケーススタディのごとく、優等生のつくるような再建案ですが、本日はダイエーの上記の4つの特色がなぜ問題であったのか考えてみたいと思います。
【(店舗などの)自社保有】
確かに、店舗を自前で保有すれば、物件の所有者がとるべき利潤も自社内に留めておくことができるというメリットはあります。しかし、自前で店舗物件を保有するためには、莫大な借金を必要とするため、財務体質を劣化させるというデメリットがあります。また、土地・建物を所有するということは、それ相応のリスクを負うことを意味しますが、これは必ずしも小売業者の追うべきリスクではありません。このリスクは減損会計の導入により、P/L上にも顕在化するようになってしまいました。
また、店舗が賃貸にかわりB/S上から消滅すると、それだけROAが高くなるという効果もあります。現代の経営は基本的には、(不要なものは)持たざる経営で、ダイエーも経営の基本に従って再建が進んでゆくのでしょう。
【事業多角化・拡大路線】
一昔前のダイエーのビジネスドメインは「生活総合産業」という言葉で語られていました。つまり、消費者の生活に関係あればなんでもやるというわけで、そんな思想のもと、球団経営やホテル経営にまで手を広げてしまいました。ダイエーの事例は「ビジネスドメインを広く取りすぎてしまった失敗例」として有名です。ただ、代わりに中核事業として据えられた「食品スーパー」では将来的な発展性に乏しく、経営が軌道にのるにつれ、より現実的でかつ発展性のあるビジネスドメインを規定していくべきでしょう。
【全国展開へのこだわり】
さきほどの事業多角化に比べて、地理的な全国展開は、よく知っているビジネスを全国に広げていくわけですから、それほど大きなリスクがないように思われますが、無視できないのがロジスティクス、すなわち物流のコストです。
ダイエーほどの規模になると、物流センターの維持費もばかにならないはずで、その物流センターを使用する店舗の儲けで物流コストを回収できないようでは、全国展開する意味はありません。
【低価格路線への過度の依存】
このデメリットについては改めて書くまでもないですが、ただ食品スーパーを中心に据え、かつ、低価格路線に依存しないとなると、単純に考えれば、ウォルマート流のEDLP(エブリデー・ロープライス)を導入するのか、商品構成に占める高級食材を増やすか、いずれかくらいしか方策はないでしょう。そのような大規模な方針転換が既存顧客をつなぎとめておくことができるのか、今後もダイエーの行方から目が離せませんね。