当サイトが一貫して注目してきた「知的財産信託」ですが、UFJ信託が特許権信託の第1号を受託したとの報道がありました。(日経紙面には記事があったのですが、残念ながらNIKKEI NETには同記事がアップされていない模様です。)
日経新聞紙面の図を見る限り、この第1号の特許権信託のスキームは、ライセンス使用者からUFJ信託が実施料を徴収し、配当という形で中小企業に金銭が流れていく形式になっており、特許権信託を活用する中小企業が特許権を活用して早期に資金化できるというメリットはない模様です。このスキームにおいては、信託銀行が特許料の金銭の取り扱いや、契約締結の代行といった、専門的な事務を代行してくれるといったメリットのみのようで、先日紹介した二次著作権のビデオグラム化権を対象とした知的財産信託が、映像資産の早期の資金化を謳っていた点とは大きく異なる模様です。
私が7月6日に書いたレビューを読み返してみても、UFJ信託の知的財産信託が掲げていた当初の目的は①特許権侵害の防止と②中小企業の資金調達の2つであったはずで、今回の第一号案件では後者のニーズは満たさないものとなっています。後者のニーズを満たすためには、知的財産から生み出される将来キャッシュフローの予測という難問に立ち向かわざるをえず、最初のケースにおいては、こうした難問を回避したスキームとなってしまうことは止むを得ないのかもしれませんが、中小企業側のニーズとしては、法的な事務委託より資金調達の方が圧倒的に大きいわけですから、資金調達のニーズを満たす真の意味での知的財産信託が、早く登場することを望みます。