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2005年01月03日

PCメーカーがPCを使わないという衝撃

当サイトにお越しの皆様へ

明けましておめでとうございます。本年も昨年同様、日経新聞のニュースを主なソースとした、レビュー・解説記事を主体としたサイトを運営していく所存です。仕事を開始する前、仕事中の息抜きに、当サイトをご覧いただければ幸いです。

さて、年始早々衝撃の報道が日経1面を飾りました。

(引用始)
『日立製作所グループは社員が業務で利用するパソコン約30万台を全廃し、情報漏えい防止型のネットワーク端末に切り替える。新端末は内部に情報を一切保存できず、盗み出されても顧客情報や製品開発情報などが流出する危険がない。機密情報の流出防止が企業共通の課題に浮上するなか、パソコンメーカーでもある日立のパソコン全廃は、企業の情報システムのあり方を大きく変えそうだ。』
(引用終)

PCメーカーがPCを利用しない方針を固めるという報道は衝撃的ですが、同社の動きは、これから同社が外販を開始するというネットワーク端末の販売のための、体を張ったマーケティング活動と見ることもできます。

【PC業界へのインパクト】
IBMのPC事業の売却と合わせ、日立のこの動きがPC業界の再編を加速させる可能性があります。私が改めてここで述べるまでもなく、PC業界はユーザーの低価格志向と、インテル・マイクロソフトといった圧倒的な力を持つサプライヤーの板ばさみになり、デルのように組み立てのプロセス自体によほどの強みを持たない限り、全くうまみのないビジネスと化してしまっているのが現状です。ここで、ネットワーク端末とは、日経新聞の「きょうのことば」欄によれば、HDDはおろかCPUすら持たない端末ということなので、ネットワーク端末の組立製造ビジネスにおいては、少なくとも、サプライヤーの価格支配力から免れることが可能となります。
この報道は、あくまでも日立社内でのPC利用の全廃であり、消費者向け・法人向けのPC製造を中止する旨の記述は全くありませんが、近い将来、少なくとも法人向けには、「ネットワーク端末 + サーバー」の売り込みを主軸に据えようとの目算があるはずで、また、仮にそうした目算もなくこうした動きに出たとすれば、軽率な感がします。私個人の根拠のない推測ですが、PC組立業界の将来像は、今年から来年の業界の出方にかかっている気がいたします。

【ユーザー企業のメリット・デメリット】
さて、ユーザー企業がPCからネットワーク端末にインターフェースを置換した際、どのようなメリット・デメリットが生ずるのでしょうか?私が思いつく限り、以下に列挙してみました。

<メリット>
①情報漏えいのリスク軽減
日立のPC利用全廃の最大の動機はここにあるようです。まず、端末内にデータが蓄積されないわけですから、ノートPCの盗難等に起因する、情報漏えいを防止することが可能です。また、CPUすら持たない端末なのですから、例えば、社内の共有ドライブ等で、「給与」や「査定」と名のつくファイルを検索しようものなら(このサイトの読者の皆様はこんなことしてないと信じていますが・・・)、それは本社のサーバーに記憶され、「不自然な操作」と認識され、「瞬時に拒絶」されてしまうはずです。つまり、物理的・心理的な作用から情報漏えいリスクが軽減されるわけです。
②ランニングコストの軽減
新聞には「パソコン利用に比べ、システム管理費や整備費を三割削減できる」との記述があります。クライアント・サーバ・タイプのシステムを構築すると、クライアント上にインストールされたシステムのバージョン管理等の追加のランニングコストが発生しますが、懐かしき集中管理に逆行することにより、こうしたコストは不要となります。

<デメリット>
①かなり高額なイニシャルコスト
新聞には「システム導入コストは一万台の場合でサーバーや通信インフラ増強を含めて総額約二十億円」との記述があり、切り替えには、かなり高額なイニシャルコストを覚悟せねばなりません。
②レスポンス低下を主因とする生産性の低下
例えば、我々が普段何気なく表計算ソフト上で行うコピーペーストのような処理も、本社のサーバー上で処理せねばならないのだとしたら、レスポンスの低下は甚大なはずで、それに伴い、利用者の生産性の低下が大きな問題となるはずです。また、どんな先進的な企業でも社内のネットワークのトラブルはつき物で、ネットワークが不安定なときに、自分の端末上にデータが保存できないとなると、データ修復のためにやはり生産性は低下するはずですし、そうしたバックアップをサーバ上で行うのであれば、サーバの増強のための出費はばかにならないはずです。

繰り返しになりますが、これは単なる一企業の動きではなく、PCメーカーの動きなのですから、かなり大きな賭けに出たという感がします。日立の今後の動きに注目していきたいと思います。

Posted by Ken Kodama at 2005年01月03日 14:39
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