日本版LLPに関する報道が、再び日経新聞1面を飾りました。日本版LLC自体については、当サイトの12月9日のエントリーで触れましたので、詳細は割愛しますが、本日新聞報道の下記の記述を読む限り、あとは税制の詰めだけという感がします。
(引用始)
『ただ、経営に全く関与せずに投資目的だけでLLPの事業に出資するのは、課税逃れにつながるとして認めない。税務上の取り扱いの詳細については今後、財務省と改めて詰める段取りだ。』
(引用終)
上記の財務省の心配は杞憂などではなく、過去に任意組合を使った租税回避の金融商品が大金持ちに向けて販売されていたことを受けてのものです。これは昨年の文芸春秋の記事にも取り上げられ、私も読んだ記憶があります。(私の文芸春秋購買の目的はおそらく皇室ネタだったと思いますが・・・)
当サイトをご覧いただいているほとんどの方は、この租税回避金融商品の恩恵に与れるほどの資産家ではないと思いますが、話のネタに面白いと思うので、野村バブコックが販売したという商品の概要をご説明したいと思います。読売オンラインにも図が入った記事がありますので、あわせてご参照下さい。
【租税回避金融商品のスキーム】
まず、野村バブコックが資産家を集め、任意組合を設立します。なぜ、株式会社や有限会社でなく、任意組合かといえば、任意組合の所得は個人の所得と通算できるからです。これが、いわゆるパススルー課税のことで、厳密さを欠いた表現をすれば(いつものことですが)、パススルー課税と有限責任を抱き合わせにしたものが、日本版LLPといえます。
さて、この任意組合は何をするかといえば、さすが資産家の任意組合ですから、航空機を買い付けます。そして、これを航空会社にリースするのです。ここで会計理論の登場ですが、組合の資産である航空機の減価償却は定率法で行われます。つまり、最初の方が費用が大きくなるわけです。対して、リース料はリース期間を通じて定額であるため、リース期間の最初のうちは、任意組合に大損が出ることになり、これを個人の所得と通算して、所得税を軽減しようとするのが、このスキームの趣旨なのです。しかし、上記読売オンライン記事によれば、「著名な経済評論家を含む」資産家側も追徴課税された模様です。
確かに、こうした動きに目をつむったままで、「定率減税廃止」などといわれても、全く説得力がありません。また、この金融商品のスキームは野村「バブコック」や「航空機リース」といったキーワードが我々の目を幻惑させますが、その仕組みの基本は、所得税の基本と会計の基本を足し合わせたにすぎません。マネーリテラシーのないものが馬鹿を見る時代です。本業のお仕事にお忙しい皆様は、是非ファイナンシャルプランナーと呼ばれる人々をご活用下さい。
なお、本日のエントリーの内容を記述した論文を見つけましたので、ご参照下さい。
租税回避行為の否認のあり方について
(任意組合等を利用した租税回避スキームを中心として)