中央三井信託銀行と三井住友海上火災保険がタッグを組んで、リバース・モーゲージ商品の取り扱いを3月から始めるという報道です。まず、リバース・モーゲージとは何であるかということですが、「リバース」が逆を意味するという点についてはよいかと思われますが、何の逆であるかといえば、我々が住宅を購入する際に利用する住宅ローンの逆であると思って下さい。どちらも持ち家を担保にして融資を受けるという点は同じですが、住宅ローンは一括で融資を受け分割で返済をするのに対し、リバース・モーゲージは分割で融資を受け一括で返済するという具合に、キャッシュフローのパターンが全く逆になります。したがって、融資を受ける目的が全く異なり、普通の住宅ローンの目的は住宅購入が目的ですが、リバース・モーゲージでは老後の生活資金の補填が主目的となります。
新聞によれば、80年代も同様の民間の商品が存在したようですが、若い私は知る由もなく、最近では武蔵野市を代表とする一部の地方公共団体が提供するのみだったのですが、それを中央三井が再び商品化したため「待望」とタイトルにつけたわけです。中央三井信託の商品を当サイトで取り上げたことは2回あり、いずれも高齢者をターゲットとしたものであり、高齢者のニーズをよく考えた上で商品化しており、高く評価したいと思います。以下は私のサイトの過去のエントリーへのリンクですのでご参照下さい。
高齢者のニーズをつかんでいることもさることながら、自行のリスク管理に対して配慮した商品設計になっている点も高く評価したいと思います。具体的に言えば、融資額に上限が付されている点です。融資を受ける高齢者側にしてみれば、自分はまだまだ生きていけるのに、公的年金を補完するリバース・モーゲージによる融資が途中でストップしてしまうことは大いなる不安ですが、それを三井住友海上きらめき生命保険の提供する終身年金で補おうというわけで、融資は銀行、保険は生保と、「餅は餅屋」のアライアンスを組んで商品提供をしている点に好感が持てます。
難点はといえば、現段階での対象を富裕層に限定している点で、「住宅の土地の担保評価が一億円以上となるのが条件(引用)」といわれてしまうと、本当にこの商品を必要としている層には手が届かなくなってしまいます。「その後に対象を拡大することも視野に入れる(引用)」とありますので、この条件が緩和されることを期待したいと思います。
もう一つ気にかかる点は以下の記述です。
(引用始)
「融資の返済に際しては、同居する配偶者がいる場合には二年間の猶予期間を設ける。」
(引用終)
新聞記事のみが情報で詳しい商品説明がない現時点でははっきりとはいえませんが、上記の記述をそのまま読む限りでは、夫名義で融資を受け、夫に先立たれてしまった妻は、夫の死後二年間の間に返済のために持ち家を手放さざるを得ない、といった悲惨なケースが想定されます。夫婦での利用を妨げかねないため、商品設計上のもう一段の工夫をお願いしたいものです。
Posted by Ken Kodama at 2005年01月11日 11:23