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2005年01月19日

製造業のトレーサビリティー

日産自動車が、自動車部品の詳細なトレーサビリティーを世界で展開するとの報道です。食品がらみで、トレーサビリティ(追跡可能性)という言葉自体はお茶の間まで浸透した感がありますが、製造業で部品単位のトレーサビリティを展開するというのは、私には初耳です。このシステムによるメリットですが、日経新聞一面には以下の記述があります。

(引用始)
『新システムではリコール実施の際に該当車種を探し出し、確実な部品交換が容易になる。不具合の発見された部品だけを交換することもでき、対策コストを最小限に抑えられる利点もある。製造物責任の所在を明確にできる。また消費者が今月からフロン類など三点の処理費用を負担している自動車リサイクル法の対象範囲が今後広がった場合、部品の素材が分別しやすい。他の製造業にも波及する可能性がある。』
(引用終)

最大の金銭的メリットはリコールコストの最小化でしょうが、その他非定量的なメリットとして、消費者からの信頼性の向上等も期待できるでしょう。システム導入コストを除けば、このシステムからのデメリットは考えられず、昨今の潮流から考えると、上記に引用した文末にもあるとおり、「他の製造業に広がる可能性」というのは、私は必至であると思います。
トレーサビリティという概念自体については、アカウンティングに深く関わってきたため、私には馴染みが深い概念ですが、その体験から、今後トレーサビリティ・システムの導入を考える製造業者にアドバイスを申し上げるとすると、シンプルですが、「まず導入の目的を明確にすること」が最も大切な心構えです。
「トレーサビリティ」というものを考え始めると、完璧主義的思考に陥りやすく、「全て追跡可能に」を目指してしまうことがよくあります。しかし、「なんのためにトレーサビリティを導入するのか」ということを最初に明確にしておけば、導入コストを最小限に抑えることが可能です。例えば、日産の例で言えば、リコールコストを最小限に抑えることが主目的なのですから、車内のカップホルダー等に履歴番号を付与することは無意味といえます。
次に大切なことは、「トレーサビリティ・システムに基づいてアクションをとれる体制を整える」ことです。システム導入により問題のある工程が特定できるのか、その工程を改善することは可能なのか、そうしたアクションを取ることができないのであれば、システム導入の効果は激減してしまいます。
第三のポイントはトレーサビリティ・システムを使用するユーザーのトレーニングを徹底的に行い、ユーザーへの啓蒙をきちんと行うという点です。若干、本日の報道とは話がずれますが、以前、管理会計目的で経費を伝票レベルまでさかのぼることができる簡易なアプリを作成したことがあるのですが、システム・ユーザーへの啓蒙・教育が不徹底であったため、システムがほとんど使用されない、といった経験を昔したことがあります。導入効果をフルに発揮するには、ユーザー教育が不可欠です。
色々書きましたが、一消費者の視点からすれば歓迎すべき動きで、こうした動きが広まっていくことを期待したいと思います。

Posted by Ken Kodama at 2005年01月19日 16:17
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