昨日はエントリーをお休みしてしまいましたが、日経一面のトップは資源高騰に関わる報道でした。鉄鉱石、鋼材、原油等の資源の価格が高騰しているとの記事でしてたが、記事を注意深く読むと、各業界の温度差が浮かび上がってきて、興味深いです。例えば、鋼材については、「新日鉄は二月にも値上げを要請する。(引用、強調は私の判断)」とありますが、ガソリンについては、「新日本石油は十九日、二月からガソリンなどの卸値を前月比一リットル当たり一~一・五円値上げする方針を明らかにした。(引用)」と明らかにトーンが異なります。これはそれぞれの業界の競争構造が異なっているのが原因で、その業界の競争構造を明らかにしようというのがマイケル・ポーターの5フォースモデルと呼ばれるものです。
【5つの競争要因】
中小企業診断士試験においては頻出されますが、ポーターは業界の競争構造の要因を以下の5つに分けて考えることを提唱しています。
①新規参入の脅威
②競合の脅威
③代替品の脅威
④供給者の脅威
⑤購入者の脅威
鉄鋼業界が5割近くもの鉄鉱石の価格値上げを受け入れざるを得ないのは、供給者の価格交渉力が圧倒的なパワーを持っているからに他なりません。鉄の代替品というものは考えにくく、また巨大な設備投資が必要なため新規参入もほぼ考えられないですが、それにも関わらず原料の値上げをすんなりと製品価格に転嫁できないのは、自動車業界に代表される購入者が強大な価格交渉力を持っているがためです。余談ですが、一月ほど前に新日鉄が企業理念を制定したとの報道がありましたが、同社サイトで見ても企業理念の中に「顧客」という言葉は登場しません。一般的に、きれいごととはいえ企業理念にはカスタマーを登場させるものですが、そうでないところに、この業界の事情を推察せざるを得ません。
それに比べて石油元売のガソリン価格の値上げの速やかさといったら、鉄鋼業界とは比べ物になりません。こうなってしまうのは、購入者であるガソリンスタンドが全く価格交渉力を持たないからです。石油元売は原料の値上げをほぼ100%製品価格に転嫁していると考えられるため、業績予測も行いやすく、同記事は下記の過去エントリーをご参照下さい。
一方で、ガソリンスタンドが販売価格にすんなりと転嫁できないのは、新規参入が比較的容易で、かつ、業界内の競争が激しいからに他なりません。
個人投資家として株式投資を行う際の視点としても、個別企業のみならず、こうした業界の分析を行うことは重要で、その際の考える視点がポーターの5フォースモデルになりますので、活用してみて下さい。
【本日のソニーも・・・】
ソニーの業績見通しの下方修正の報道が本日の日経一面にありましたが、主因はエレクトロニクス部門の不振とのことです。このエレクトロニクス部門の不振は、新聞報道にあるように、ブランド・バリューの低下、製品開発力といった、個別企業の努力の観点から分析されねばなりませんが、先程の記述から関連させれば、このエレクトロニクス業界というのは競争が激しい業界であるということが、遠因であるといえるでしょう。携帯型オーディオといった分野にアップルが新規参入してきたり、松下・シャープらとの既存競合との競争も激しく、また量販店を物色して回る我々消費者が顧客であり、こうした要因から、この業界の競争が激しくなってきています。