ビールメーカーがリベートを廃止する動きがしばしば報じられていましたが、本日は、イオンが小売価格に転嫁しないとの報道です。以下に日経NETの記事を引用します。
(引用始)
『大手ビールメーカー4社が1月から新取引制度を導入したことに伴うビール・発泡酒の店頭価格の動きが注目されているが、イオンは27日、店頭価格を据え置くことを明らかにした。一部安売り店を除き、大手スーパーやコンビニエンスストアも店頭価格を据え置いている。当初は販売奨励金(リベート)廃止に伴う卸売価格の実質値上げ分が小売価格に転嫁されるとみられていたが、値上げが浸透するかは不透明だ。』
(引用終)
この記事への私の雑感を述べさせていただくと、20年後くらいの経済学の教科書では、鋼材価格の上昇等の動きと合わせて「インフレ」というカタカナ4文字で片付けられているのかもしれませんが、それが最終段階の小売価格にまで波及するには、いかに多くの複雑な過程があるかを窺い知る上で興味深いと思います。
さて、まずことの発端ですが、ビール業界のリベート慣行は不当廉売を招くとの公正取引委員会による指導に始まります。この公正取引委員会の判断に関心がある方は、以下の公正取引委員会のページをご参照下さい。
本日の日経新聞に詳しく書かれているように、この公正取引委員会の指導は、値下げ競争に疲れきったビールメーカー等の思惑と合致して、すんなりと受け入れられたのですが、誤算は値上げはビールメーカーと卸との間の価格に留まり、小売業界まで波及しなかった点にあるようです。なぜ、小売業界に波及しなかったかといえば、それは業界間の力学によるもので、先日エントリーを書いた、ポーターのモデルが参考になるかと思われますので、ご参照下さい。
こうして、ビール卸売業界は実質的に仕入価格が上昇したにも関わらず、小売業界への販売価格に転嫁できず、一挙にふところ具合が厳しくなってしまったわけです。「中抜き」の潮流の中で、他業界の卸売業者も苦境にたってきたわけですが、そうした苦境の卸売業界へのリバイバルプランとして登場する常套の手段が①リテールサポートの強化②情報システム投資③物流の高度化の3つです。どのような方向性を志向するのかは、それぞれの業者の内部資源を分析することにより決定されるべきで、旧制度の中小企業診断士試験で出題されてきた論点でもあります。酒類卸売業界の今後を注意深く見守っていきたいと思います。
Posted by Ken Kodama at 2005年01月28日 16:43