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2005年02月01日

企業買収と企業価値

米SBCがAT&Tを買収するとの報道です。以下に、NIKKEI NET記事の概要を引用させていただきます。

(引用始)
『米通信2位のSBCコミュニケーションズは31日、同3位で長距離通信最大手のAT&Tを買収することで合意したと発表した。買収額は160億ドル(約1兆6500億円)。両社の2004年売上高の単純合計は713億ドル強と、ベライゾン・コミュニケーションズを抜き米最大の通信会社となる。1984年の分割まで米通信市場を独占していたAT&Tだが、通信自由化に伴う競争激化で業績が悪化していた。』
(引用終)

本日日経新聞3ページには、分割後のAT&Tの20年の歴史がコンパクトにまとめられていますが、「おしん」の生涯を連想させるような、激動の20年といった感じです。
本日は、企業買収時における企業価値の変化について取り上げてみたいと思います。一般的には、A社とB社が買収により一社になるときには、両社の企業価値の単純合計値より増加することが多く、その単純合計への上乗せの源泉となるのが両社のシナジーです。Ross, Westerfield, Jaffe著のCorporate Finance(2nd edition)というファイナンスの教科書(最近同6版の翻訳がきんざいより出版されたようです)によれば、そのシナジーの源泉は主に4つであるとしており、以下細かく見ていくこととしましょう。
①収益の増加
買収により売上高の増加を期待することができます。例えば本日のSBCとAT&Tでは、AT&Tの持つIP電話の技術をSBCの持つ顧客網に販売していく可能性が示唆されています。
②コストの削減
製造業であれば、企業の統合により生産量が増加して、規模の経済の恩恵に与り、1製品あたりの平均製造コストを削減することが可能です。本日のSBC、AT&Tは製造業ではないため規模の経済が働くことは考えにくいですが、間接部門(経理・人事・システム等)の統合により、コストの削減が実現することが期待されます。
③税務上のメリット
被買収企業が損失を垂れ流しているような場合は、その損失を法人税の軽減のために活用することが可能です。
④資本コストの低減
一般的に、企業規模が大きくなるほど、資本コストは低減すると言われています。資本コストは企業価値を算出する際に使用する割引率ですから、割引率である資本コストが低下すれば、企業価値が増大するのは、ご納得いただけると思います。

Posted by Ken Kodama at 2005年02月01日 10:12
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