ネットコミュニティーでここまで話題になっているものを当サイトで取り上げるのもいかがなものかと思いましたが、興味深いテーマではあるため取り上げることとしました。
当サイトでは、ライブドアの資金調達手段である、800億円の転換社債について、株式投資初心者の方の目線で考えてみたいと思います。以下にライブドアの開示文書のリンクを掲げておきます。
2010年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債発行に関するお知らせ
【なぜ転換社債で資金調達するのか?】
資金調達の手段には、転換社債でなくとも、普通社債でも株式発行もありえることは、皆様ご存知の通りです。
まず、なぜ普通社債でなく転換社債であるかという点ですが、これは利払いの負担が軽くなるからです。開示文書の最後のページに「本社債には利息を付さない」とあるため、毎年の利払いによるキャッシュ・アウトは一切発生しません。もし、普通社債であれば、仮に利率が1%だとしても年間8億円の利払いが発生します。
では、なぜ転換社債の利率が普通社債より低いかといえば、それは、転換社債には、「一定の値段で株式と交換できる」というおまけがついているからです。
では、なぜ株式の発行でなく転換社債を使用するかといえば、これはなかなか難しいです。一般的に「増資」をアナウンスすると、株数増加による希薄化を懸念して株価が下落することが多いので、それを避けていると考えられますが、転換社債の発行においても「潜在的な」希薄化は当然あるわけで、希薄化が「潜在的」であれば、マーケットはすぐには気がつかないと、思っているのかもしれません。
【転換社債で資金調達した企業の株価はどうなるのか】
では、転換社債で資金調達をした企業の、その後の株価はどうなるでしょうか?転換社債についているおまけである「一定の価格で株に交換できる権利」ですが、少し考えると「株に交換できる権利」なのだから、株価が上昇しないと儲からないような気がしますが、実は、空売りをしても損をしないような「空売り保険」としても機能する側面もあります。(この詳しい仕組みの解説は私の発行する有料メルマガのコンテンツになりますので、割愛させていただきます。)
したがって、転換社債が株式投資のプロの手に渡れば、株価が上昇しても下落しても儲かるし、儲かるために大きな空売りを仕掛けられる実例も多く存在します。
【ライブドアの転換社債はただの転換社債ではない】
開示文書2ページ目の(3)の③に「転換価格の修正」とありますが、これは株価の下落とともに転換価格が切り下がっていく、最近悪名の高いMSCB(Moving Strike Convertible Bond)という奴です。感覚的にもお分かりいただけるかもしれませんが、株価が下落した場合でもMSCBの持ち主は空売りとからめることにより、より儲け易くなるということです。MSCBに関するネット上の資料では、会計士の磯崎氏の運営するisologueというブログに非常に詳しく書かれていますので、ご参照下さい。(今回のライブドアに関しては、MSCBではなく、ニッポン放送株取得の法的妥当性について論じていらっしゃいます。)