執筆者のプロフィールはこちら
  最近のニュース・レビュー記事はこちら new.gif

2005年02月15日

JTの職務給

JTが年功型の給与を廃止し、職務給制度を導入するとの報道です。まず、この「職務給」の簡単な説明ですが、「人ありき」ではなく「仕事ありき」で給与の水準を決める仕組みです。経理の部長職なら○○万円、予算担当の課長なら○○万円、といった具合です。お馴染みの「成果給」も「職務給」も、日本においては年功序列型により肥大化した総人件費を抑制しようとの目的で導入された点は共通していますが、「成果給」は目標達成度合いにより毎年給与が変動するため、よりインセンティブを引き出すという目的においては優れていますが、富士通の暴露本等に代表されるよう、昨年は成果主義の問題点がクローズアップされたため、JTは「成果給」ではなく「職務給」という選択に至ったかもしれません。
私の個人的な体験ですが、職務給に関しては、大変深く接してきました。というのも、本日の新聞にも記載があったとおり、職務給はアメリカで一般的な給与体系であり、外資系企業の日本法人の大半が、やはり職務給を採用しているからです。個人的体験に根付いたJTへのアドバイスをするとすれば、それは以下の2つとなります。

①人材マーケットの相場を受け入れること
職務給は仕事で給与が決まるのであり、特に経理・財務・人事・システムといった、どの会社にも汎用的な職務であれば、それぞれの給与水準には人材マーケットでの相場というものが存在します。例えば、私がかつて働いた金融業界等は特に顕著な例で、経理・財務担当職も職務が細分化されており、トレーディング業務の収益を管理する「プロダクト・コントローラー」なる職務も、プレーンな債券担当であれば6~800万円、デリバティブが加わると8~1100万円、クレデリができれば1000万円~1200万円といった具合です。(これはあくまでもイメージを喚起するための「例」であることをご承知下さい)こうしたマーケットを無視した水準設定を行うと、職務給制度は必ず破綻を招きます。給与水準がマーケットより低ければ、優秀な人材の流出を招き、逆に高ければ、てこでも異動を拒もうとする無能社員の温床となりかねません。したがって、ここからもう一段階進めて考察すれば、職務給制度は人材の流動化を促すものであり、それに対する備えをあらかじめ行っておく必要があるということがいえるでしょう。

②社内での公平性の維持の仕組構築を考えること
これも、実体験に基づくものですが、昨日まで秘書であった方が、ある日突然企画担当のクリエイティブな職務についている、という光景もたまにあります。そして、ひそひそと裏でささやかれるのは、「あいつ、この異動で年収が200万円上がったらしい・・・」といったような生々しいものです。もちろん、抜擢を否定するつもりは全くありませんが、職務給制度は仕事を変えない限り給与は変わらないわけですから、その職務の異動において、公平性を担保するような仕組みを社内に構築する必要があります。たまたま社内での仕事上の連携が深かったために抜擢が行われたり、あるいは、男女の関係があったための異動であったとささやかれたり、はたまた、男同士のよく分からない関係が異動の背後にあったり・・・等ということがあれば、他の従業員の不満は爆発して、会社運営が成り立たなくなる危機すらあります。
公平性を担保する代表的な仕組みとしては、「社内公募制」と呼ばれるものがあり、イントラネットに社内の空席のポジションを列挙し、従業員自らが応募できる体制をとっておくものです。

Posted by Ken Kodama at 2005年02月15日 09:58
Comments