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2005年02月17日

金型内製

キヤノンと富士ゼロックスはプラスチックの部品を成型するために使う金型の内製化を本格化するとの報道です。この問題に関しては、2月2日に以下の関連エントリーをアップしましたので、ご参照下さい。

デジタル変調と「内製化」

基本的に、ごく最近の製造業のトレンドは内製化にあるわけですが、そもそも、原点に立ち返って、なぜ金型製作は大手メーカーから外出しされたのか、という点について考えてみたいと思います。

【なぜ金型は大手メーカから外出しされたのか】
まず、第一の動機は金型製作費用の変動費化にあるといえるでしょう。基本的には、金型作成費用は大量生産を開始する時点のみ発生します。一年中を通して業務が必要であるわけではないので、そのための人員をプロパーで抱えると無駄な固定費が発生してしまうというのが、金型製作が大手メーカーからスピンアウトしていった経緯であると考えられます。
第二の動機、というよりこちらの方がより重要かもしれませんが、金型製作に関わる技術はメーカーにとってのコアな技術と考えられていなかったという点です。もちろん金型製作には高度な技術は必要ですが、例えばキャノンであれば、キャノンのコアな技術は「インクジェットプリンター」の原理に関わるものであったりして、それをスタンピングする技術を有していても、技術面でのシナジーは得られないと考えられていたのでしょう。

【金型は大手メーカーが内製化すべき工程なのか?】
金型を内製化するということは、固定費をとるということで、オペレーティングレバレッジの追求にあるわけですから、大手メーカーにとってはリスクテーキングといえます。あえて、この分野にリスクテーキングする意義はあるのでしょうか?
今回の報道の富士ゼロックスは、いわゆる変調をきたしている「デジタル家電」のメーカーではありませんが、メーカーが予期し得ないほどの価格下落にさらされている市場においては、費用構造の大部分にコントロールが及ぶようにしておく必要があります。外注の場合は単価の引き下げは価格交渉以外にありえませんが、内製化すれば販売価格の下落を受け、速やかにコスト削減をリードしていくことが可能となります。
また、新聞にも指摘されていますが、内製化すれば同一企業内のオペレーションとなるわけですから、製品ライフサイクルの短期化に対応してより機動的に商品開発・生産を実施することが可能となります。
したがって、製品ライフサイクルが短期化し、販売市場の価格の不透明という外部環境の変化があったわけですから、金型内製化という方向転換は意味のある行動ということができるでしょう。

【中小金型メーカーの取るべき道】
こうした内製化の大きな流れの中で、中小金型メーカーは、経営上に不安を抱えているのであれば、大手メーカーへのより有利な条件での身売りを考えることも一つの方向性です。買い手側に株式売却価格の主導権を握られてしまわぬよう、中小企業を対象としてM&A業者に依頼をもちかけるのも一つの選択肢でしょう。
しかし、それでも、やはり独自の経営にこだわるのであれば、さきほど述べた①機動的な開発サイクルと②コスト削減の迅速化への、なんらかの対策が必要となります。前者については、大手メーカーとのデータ連携を推進したり、後者については、同業他社との連携により規模の経済の確保、といった視点を経営にとりいれていく必要があるといえるでしょう。

Posted by Ken Kodama at 2005年02月17日 10:22
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