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2005年02月22日

ライブドア問題と投資銀行の道義的責任

本日の日経新聞はライブドア一色でした。一面の買収防衛策に関する記事もライブドアに端を発したものですし、セブンイレブン株譲渡の報道も、その背後の動機の「資本のねじれの解消」は、やはりフジテレビとニッポン放送の問題につながります。これほどライブドア一色の日に、この問題に触れぬわけいかないと思い、本日はライブドアネタにしようと思いますが、矛先は今回の騒ぎの黒子であるリーマンブラザーズです。
私は、財務内容の悪い企業に対してゼロクーポンCBの発行をもちかける、投資銀行の営業手法に対して以前から大きな疑問を抱いていました。「ゼロクーポン」CBなのですから、CBの購入者には利息収入があるわけではなく、そこからゲインを得ようとするのであれば、ゼロクーポンCBに内蔵されたコールオプションを活用するほかありません。財務内容が悪い企業であれば、当然株価の上昇は期待できず、したがってCBホルダーは、原証券の空売りポジションとCBに内蔵されたコールオプションを合成して、プットオプションを複製する戦略に出ることは目に見えています。(八重洲校で講義をお聞きいただいている方には、7回目に簡単にこの仕組みをお話する予定です。)
その結果痛手を被るのは、またもや、無知な個人投資家です。金融商品販売法という手ごわい法律により、もう証券会社は個人投資家を直接だまして旨味をしゃぶりつくすことはできなくなりました。しかし、無知な個人投資家からしぼりとろうとするその商魂は途絶えていなかったのです。だます相手はCBの発行体に代わりましたが、発行体のPLは少しも痛手を負うことなく、むしろ「ゼロクーポン」なのですから経常利益の増益要因ともなります。財務内容の厳しい企業にとってはモルヒネのようなものです。しかし、マネーゲームはゼロサムゲームなのですから、どこかで誰かが泣いているはずで、それが希薄化と空売りでガタガタになった個人投資家の持ち株なのです。これが、私がゼロクーポンCBを「悪魔に魂を売り渡す資金調達」と呼ぶ所以です。
ライブドア副社長の日記を読むと、なるほど、リーマンはこのような営業トークをしたのか、ということが手に取るように分かります。そして、同じ方の「風説の流布」呼ばわりされてしまった2月18日付けのエントリーを読むと、なんとも痛々しい限りですが、しかし本当に痛い思いをするのはやはり個人投資家である株主なのです。
投資銀行の直接のカスタマーは法人であるわけですが、その証券市場での重要な役割を考えると、結果的に個人投資家を粗末にするようなビジネスはすべきではないし、そのようなことをしていては、長期的には自らの首を絞めかねないといえます。今回の問題が、企業の買収防衛に対する法整備の道筋を開いたことは大いに評価すべきですが、保身を狙う経営者の便乗陳情という色彩が多分に強いと思います。その背後にあるMSCBに対しても、なんらかの規制があってしかるべきではないかと私は思うのですが・・・

Posted by Ken Kodama at 2005年02月22日 21:23