トヨタがJR貨物、日本通運と組み、2006年秋から専用貨物列車を使って自動車部品の輸送を始めるとの報道で、背後にあるのは二酸化炭素排出削減という環境上の要請です。
これまで自動車業界に関連するエントリーをいくつか書いてきましたが、どうやらキーはサプライにあるようです。新潟の震災でにわかに注目を浴びた製造業のBCPですが、製造業のBCPを厄介にしているのは複雑なサプライチェーンを有しているからに他なりません。また、鋼材の需給逼迫も当然ながらサプライの重要な問題ですし、今回の環境への配慮からのロジスティクスの見直しも、やはり「サプライ」に包含される問題です。以下は当サイトの関連するエントリーです。
トヨタのカンバンシステムはサプライが円滑であることを暗黙裡の前提としてきましたが、この基盤を揺るがすような大きな潮流が続くようであれば、場合によっては、生産管理の思想までも根本的に見直す必要が生じてくるのかもしれません。今回の物流と二酸化炭素排出の問題にしても、在庫を抑えようとすれば必然的に輸送回数は増加し、本質的には在庫低減と二酸化炭素排出の抑制は相容れないものであるはずです。
こうした深遠な問題に「購買」「生産管理」といった部門毎の縦割り組織で対応しようとすると、必ず矛盾が生じるものです。奥田-張体制は私の印象では販売・グローバル展開に重点を置いていた感がしますが、渡辺新社長が取り組むべき課題はトヨタの根源に迫るもので、そうした意味では社長交代、役員一新のタイミングは正に時機をとらえたものであったといえるでしょう。
カンバンを更に進化させていくのか、あるいは新しい世紀にふさわしい生産体制を築いていくのか、いずれにせよ、今後もトヨタの動向から目を離せないことだけは確かです。