「米玩具専門店最大手トイザラスは17日、米コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)などの投資会社グループに会社を売却することで合意した(引用)」との報道です。日経新聞はこの買収の背景にあるのが、ウォルマートの攻勢にあるとしています。以下に、日経新聞の記述を引用します。
(引用始)
『トイザラスが身売りに追い込まれた背景にはウォルマート・ストアーズの攻勢がある。世界五十カ国超からの商品調達網と低コスト経営をテコにしたエブリデー・ロープライス(毎日低価格)戦略の展開で、1990年代後半から専門店をなぎ倒してシェアを奪っていった。
米国だけで年間300店超の大量出店の前に、多くの専門店が生存の道を絶たれている。玩具、衣料、食品、宝飾品、音楽CD、DVDソフト、スポーツ用品 ━。いずれの商品でもトップシェアを握るのはウォルマートだ。』
(引用終)
当サイトでは、ダイエー、イトーヨーカ堂をネタに、日本の総合スーパーの苦境について取り上げてきました。そして、日本では総合スーパーよりも専門店で、SCも専門店の集客力だのみ、といった色彩が強かったのですが、アメリカにおいては、ウォルマートの圧勝のようです。なにゆえに、日米の流通事情はかくも違うのでしょうか?
流通専門のコンサルタントの方は確固とした答えを既にお持ちでしょうが、私なりに考えたアメリカの専門店不振の原因を以下に挙げてみたいと思います。
①マークダウンへの不振
ギャップのお店に行かれている方はご存知でしょうが、売れ行き不振の商品はしばらくたつと、大幅な値下げ(マークダウン)をして売られるようになります。もとは、四千円くらいであった商品が二千円をきって売られていた、などということは頻繁にあることで、こうした大幅なマークダウンへの不信感が、ウォルマートのEDLPへの圧倒的な支持へとつながっているのであると考えられます。
②ネットショップの台頭
私はCDと書籍については、大型の専門店でなければ購入しません。なぜならば品揃えが圧倒的だからです。ところが、こうした専門店をはるかに上回る品揃えをそろえているのが、アマゾンなどのネットショップです。しかも、書籍でもコアの部分は中を閲覧でき、音楽についても視聴可能で、モルタル店舗に出向く必要がありません。アメリカでタワーレコードが破産法申請に追い込まれた背景には、ネットショップの台頭があると考えるのが妥当であると思います。
③地理的な商圏の広さ
①と②の理由については、日本についてもあてはまるはずですが、日本では専門店の不振ということはあまり聞きません。それは、恐らく、日本の商圏が地理的に狭く、アメリカのそれが広い、ということにつながってくるのだと思います。
例えば、日本のギャップのコアなお客様は頻繁に店舗を訪れ、マークダウンの状況をチェックしつつ、お買い物を楽しまれているようです。そうしたことが可能になるのは、職場から歩いて数分のところにお店があったり、通勤途中の駅近にお店があったりするからで、これが車を出して30分のところにお店があるのであれば、買うかどうか分からないのにお店に訪れるなどということは起こりえないはずです。
なお、「アメリカ、専門店、ウォルマート」というキーワードでグーグル検索してみたところ、三洋堂書店さんの社内速報なる文書がひっかかりました。昨年10月にCOOの方がアメリカに視察に行かれたようですが、今回のトイザラス買収の背景となるおもちゃの小売事情を実に的確にまとめているので、是非ご参照してみてください。