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2005年03月22日

日本では置き去りにされてしまった"And Ethics"の視点

本日の日経新聞朝刊の3ページの『市場行政「裁量」に限界』と題した記事は、ニッポン放送問題で露呈した株式市場の問題点に対する規制を考える、という今までの野次馬レベルの記事から一歩掘り下げた内容となっています。
同記事内において、『ニッポン放送株の買収に絡み表面化した市場の課題』と題した表が掲載され、5つの課題が列挙されているため、以下に引用したいと思います。

(引用始)
▽立会外取引
▽TOB
▽大量保有報告書
▽株式分割
▽下方修正条項付転換社債
(引用終)

前二者は「買収防衛」という観点、後三者は「投資家保護」という観点からの課題であるといえるでしょう。「買収防衛」という観点からの規制については、政治家に大きな影響力を持つ財界の面々の後押しにより、既に「合併対価の柔軟化を1年凍結させる」という方向で、会社法改正案に反映されていますが、「投資家保護」という観点の規制はどうしても遅れがちで、多くの問題をはらむMSCB自体への規制の動きについては、一向に聞こえてきません。
一方で、こうした問題に全て規制強化で対応しようとすれば、「市場の円滑な取引に支障が生じる恐れもある(引用)」とする、見解も否定できません。こうした、明らかな市場の抜け穴には、どういうスタンスで望んでいけばよいのでしょうか?
根本的に考えて、日本の株式市場にこうした問題点・歪みが数多く存在するのは、証券会社において「倫理」という観点が欠落しているからに他ならないと私は考えます。もちろん、証券会社も常に前進を続けています。CSFBの「飛ばし」が大問題になったとき、証券各社は、こぞってコンプライアンス(法令順守)機能の強化を実施しました。私も金融業界に身をおいていたこともあり、多少の内情は知っていますが、各社のコンプライアンス部には、証券法務を熟知する精鋭が数名~十数名の規模で配置され、企業の全ての取引を「法に外れていないか」という観点から、日々ウォッチしています。
しかし、例えばこちらの企業のサイトからも分かるように、アメリカではコンプライアンス単独で考えず、「Compliance And Ethics(法令順守と倫理)」というくくりかたで、考えていることが一般的です。コンプライアンスという言葉は既にカタカタ日本語になるくらいに普及しましたが、なぜか後半の「And Ethics」の方は忘れ去られてしまったのです。そして、それは単なる言葉の遊びに留まるのではなく、日本の証券各社のコンプライアンス部のスタッフの多くは、「Ethics」という観点で仕事をしたことがある方は、皆無に近いのではないかと思われます。
証券アナリスト試験では「倫理」も合わせてテストされるようですが、倫理が必要なのは、アナリストのみならず、トレーディング部門でも投資銀行部門でも同じです。「倫理」を忘れた証券会社は、その自らの行いにより、当局の規制でがんじがらめになってしまうという因果応報を忘れてはならないでしょう。

Posted by Ken Kodama at 2005年03月22日 21:20
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