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2005年03月23日

ERPに牛耳られるオペレーション・マネジメント

本日着目する記事は、国際面の小さな記事ですが、SAPとの買収合戦の末に、オラクルがリテック社の買収に成功したとの報道です。私は恥ずかしながら、このリテック社なる会社は初耳だったのですが、Retail Technologyの略のようで、小売業界に特化したパッケージ・システムを販売している会社のようです。
今からさかのぼること10年前、私は今は亡き(アクセンチュアに改名)アンダーセン・コンサルティングで、BPR(業務改善)だとかシステム設計という仕事をしていたのですが、当時、ERPシステムというのは今ほど普及しておらず、大企業は自社用のカスタマイズしたシステムをゼロから構築することが一般的でした。今ではほとんどありえないと思いますが、当時私は、カスタムメイドの経理システム(G/Lなど)を構築していました。ところが、2000年問題でのシステム改修の必要性を機に、多くの大企業はSAP等のERPシステムを基幹システムとして採用しはじめたのです。
この方向転換は、ERPパッケージの普及により、単にシステムの作り手が企業内から外部に出た、ということを意味するのではなく、業務フロー自体をERPベンダーから買うことに他なりません。業務フローが古いままで、新しいシステムを導入しても、「意味がない」どころか、日常業務が回っていかなくなる可能性があります。したがって、汎用的なERPパッケージシステムを導入するということは、既存の古い業務を捨て、最新の汎用的な業務フローを受け入れる覚悟に他ならないのです。
もちろん、新しい業務フローを構築することは一筋縄では行きませんが、しかし、ERPソフトと導入コンサルタントの支援を得れば、最前線の業務フロー、すなわちベスト・プラクティスを容易く手に入れることが可能となるのです。(もちろん移行過程にある現場は修羅場と化す恐れもありますが・・・)この流れが更に加速化するとどうなるかというと、各企業はオペレーション・マネジメントの分野において、他を圧倒するような差別化ができなくなる、という状況に行き着くことでしょう。
他を圧倒する業務プロセスと言えば、デルのBTO(在庫を持たない受注生産)が真っ先に浮かびますが、うろ覚えですが、デルのプロセスですら、SAPはサポートしているはずです。また、製造業がトヨタの域に迫るのは至難の業でしょうが、SCM等はERPの標準的な機能であり、10年前よりもトヨタの優位性は薄れてきているはずです。
SAPとオラクルがこれほどまでにリテック社を奪い合ったということは、同社のパッケージが小売業のベスト・プラクティスを内包していると考えるのが自然でしょう。同社がソリューションとして掲げるメニューには、以下のようなものがあります。

● Merchandise Operations Management
● Store & Multi Channel Retailing
● Supply Chain Planning & Optimization
● Supply Chain Execution
● Merchandise Planning & Optimization
● Demand Planning

もちろん、かなり私が誇張した表現をしているという面は否定しませんが、オペレーション・マネジメントにおいて競争優位を確立する、という戦略は、ERPパッケージの深化により不可能となってしまうことでしょう。これから更に10年後には、オペレーション・マネジメントは、もはや、「できて当たり前」の減点評価の対象となり、企業はそれ以外の分野で競争優位を見出さねば、厳しい競争に勝ち抜いてゆけないことでしょう。

Posted by Ken Kodama at 2005年03月23日 20:22
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