昨日の私のエントリーに対する反論であるかのような記事が、本日の日経新聞の3ページにおいて、掲載されました。以下、日経新聞に掲載された、村上ファンドの投資手法に対する疑問を引用致しましょう。
(引用始)
『ただ、こうした投資手法は、投資先企業が抱える現金を吐き出させるなど短期的な利潤獲得に偏りがちで、長期的な企業価値の増大に必ずしもつながっていないといった批判も根強い。専門家からも「M&Aは長期にわたって企業価値の向上につながらなくてはならない。何十年かけてためた資産を最近登場した株主に配当として差し出すことには違和感を感じる」(佐山展生・一橋大学大学院教授)といった声もある。』
(引用終)
ライブドア騒動で一躍有名になった専門用語「企業価値」ですが、非常に重要な概念であるのに、都合良く解釈されて自らの立場の正当化に援用される例が多いことに嫌悪感すら覚えます。
村上ファンドが着目するような、過剰な現金を有する企業が取るべき道は2つに1つです。すなわち、(1)その現金を正のNPVを生むような有効な投資に回して企業価値の向上を図るか、(2)有効な投資案件がないのであれば株主に返還する、のいずれかです。
株式会社が必要以上の現金を法人の資産として溜め込んでいることは、よくないことで、それは経営陣の怠慢の結果であるといえます。なぜならば、現金として資産を保有していれば、金利以上のリターンを期待することはできません。一方で、株式投資家は株式の持つ高いリスクにさらされています。高いリスクを負いながらも、経営陣が資産の大半から利息収入した上げていなければ、投資家はリスクに応じたリターンを手にできなくなってしまいます。
「何十年かけて資産を溜めてきた」のであるとすれば、それは経営陣が企業経営とは本来相容れない「貯蓄は美徳」という倫理を持ち込んで、株主軽視を何十年行ってきたことの裏返しであるといえます。「最近登場した株主に配当として差し出」さねばならないのは、旧株主がしびれをきらし、株式を売却することにより経営陣にノーをつきつけた結果なのです。村上ファンドに配当を払うのが面白くないというのであれば、普段から株主重視の経営を行っていればよいまでのことです。