本日は久しぶりに会計ネタです。まずは、以下のNIKKEI NETの記事をご一読下さい。
(引用始)
『欧州連合(EU)の証券規制委員会は27日夜、EU市場に上場する日本企業に対し、2007年から追加的な決算情報の開示を義務付けるよう求める中間報告を正式発表した。企業の合併・買収にかかわる会計処理などで日本基準と欧州企業の利用する国際会計基準に違いが大きいと判断したため。』
(引用終)
企業が合併するときの会計処理には①持分プーリング法と②パーチェス法の2種類があり、国際的な潮流はパーチェス法に統一されているのですが、日本では例外的に持分プーリング法を使用することが認められており、この点が日本人以外が日本で作成された財務諸表を投資判断の材料とするときに、比較可能を困難たらしめる要因です。
ここで、簡単に両者を説明しておきましょう。持分プーリング法は、会計を少しかじった方にはとっつきやすい方法です。基本的には合併する二社のB/Sを足し合わせればいいだけです。対して、パーチェス法では、合併において主導権をとっている方と、そうでない方をまず明確に識別することからはじめ、合併の主導権をとっている会社が、もう一方の会社を時価で買い付ける、という想定で両者の財務諸表を合体させる方法がパーチェス法なのです。
なぜ、日本では持分プーリング法を温存させているのか?EUの証券規制委員会のサイト内を検索していたところ、この疑問に対し、日本の会計基準委員会からのオフィシャルな回答をみつけたので、以下に引用し、拙訳を併記します。
(引用始)
『However, there have been limited situations where no party obtains control over the other upon business combinations and thus shareholders' interests in entities are not discontinued thereon. In such a case, it is considered that the pooling-of-interest method more reflects the economic substances and avoids an arbitrary treatment to determine which entity acquires the others.』
(引用終)
(拙訳始)
『しかしながら、これまでにも、限られた状況において、合併する両社いずれもが主導権をとらず、したがって株主の利益が中断することがない状況が存在しました。このような場合においては、持分プーリング法が経済的な実質をよりよく反映するのであり、どちらの会社が他方を買収するという恣意的な判断を回避することができるのです。』
(拙訳終)
私は日本の会計の専門家が出した、上記の回答を論駁する意思も能力もありません。しかし、会計基準というのはそもそも、異なる会社の経済的実質を比較可能にするためのルールであり、日本がグローバル・スタンダードと異質なルールに固執すれば、グローバルなレベルでの企業の比較可能性が阻害されることは明確で、会計基準が異なるがために、日本への投資マネーの流入が制限されている可能性すらあると思います。いっそ、今までの日本の会計基準を捨てて、国際会計基準に乗り換えるくらいの思い切りの良さがあってもいいと思うのですが、ここまで言うと言いすぎですかね(^_^;)
Posted by Ken Kodama at 2005年04月28日 17:53