トヨタの純利益が前期から1%増加して1兆1712億円となり、三期連続で過去最高になったとの報道です。我々は、この1年間製造業のコスト増加要因となる「資源インフレ」に関する報道を、連日のように、日経新聞の一面で見続けてきたわけです。そのような中でトヨタは前年度を上回る純利益を上げてしまったわけで、驚嘆せざるを得ません。なぜ、トヨタは逆風下の中、最高益をあげることが可能となったのでしょうか?
一言でこの原因を説明するとすれば、資源インフレはトヨタにとってただの「逆風」ではなく、実は両刃の剣であった、ということができるでしょう。本日の日経新聞3ページから、以下に一部分引用しておきましょう。
(引用始)
『ガソリン価格の高騰で消費者が燃費性能に敏感になるなか、「プリウス」の米国販売台数は2.7倍の6万9千台に急増した。』
(引用終)
つまり、鉄鉱石の価格の上昇はトヨタの製造原価の上昇を意味しますが、ガソリン価格の高騰は「燃費に強い」というイメージを持つ日本車の販売促進として効いたわけです。別な言葉で言い換えれば、資源インフレに端を発するコスト増加は、同じ要因が売上増に結びつくような商品を持つことにより、リスクヘッジされたともいえるでしょう。
もちろん、これをトヨタの想定内であったとして、賞賛するのは行き過ぎでしょう。鉄鉱石の価格と原油価格は必ずしも連動しているわけではなく、その連動が保たれていなければ、今回のようなリスクヘッジはなかったわけですから、今回の原材料増加と売上増加の相殺を「リスクマネジメント」であるというのは、合理的な経営とはいえません。
しかし、無味乾燥なリスクマネジメントの教科書が説く、「保険の活用」や「万一の場合に備えて自己資本を厚くする」、といった保守的な方策よりは、自らの弱みを強みに変える逆転の発想のリスクマネジメントの方がはるかにクリエイティブで斬新です。今回トヨタに偶然吹いた神風を参考に、各社はより斬新なリスクマネジメント手法を志向されると、「強い日本」が復活するのではないでしょうか?