本日は先日に引き続き、タワー投資顧問の謎にせまりたいと思います。といっても、ヘッジファンド自体については私はあまり明るくなく、今回の騒動を通じて私が学習したことをまとめておきたいと思います。
【タワー投資顧問とゴールドマンサックスの関係】
先日ご紹介したサイトに気になる記述の一文がありましたので以下に引用いたします。
『タワー投資顧問様の名称ではなく、「ゴールドマン・サックス・インターナショナル」として表示されます(引用)』
「なんか、怪しいところは怪しいところ同士でつながってるんだな」というのが、恐らく皆様の印象だと思いますが(私も恥ずかしながらそう思いました)、実はタワー投資顧問はゴールドマンサックスにとってのクライアントなのです。では、ゴールドマンサックスがタワー投資顧問に提供しているサービスとは何かといえば、プライム・ブローカーなるサービスです。
プライム・ブローカーというサービスの概要については、こちらのサイト(このサイト面白いです!ヘッジファンドを運用されている方のようです。)より引用させていただきます。
(引用始)
『プライム・ブローカーとはそのファンドの資産、つまり顧客から預かったキャッシュや、買い建て、売り建てした株式や債券などを預かり、管理するサービスのことを指します。』
(引用終)
上記には書いてありませんが、プライム・ブローカーの最大のサービスの一つが、空売りするときに株を貸してあげることです。上記の説明から受ける私の印象は、なんだか、カストディアンのような仕事で、ゴールドマンが手がけるには地味な仕事という気がしたのですが、こちらのサイトによれば、『最近、プライム・ブローカー業務ほど価格的優位性のあるビジネスはないことが分かり(引用)』との記述もあり、収益性が高いビジネスのようです。
収益性が高いということは、タワー投資顧問がゴールドマンに払っているお金が大きいということです。さらに、運用部長が長者番付の1位になるくらいの報酬を払い、それでもファンドの出資者に払う分配金があるわけですから、いかにタワー投資顧問の運用収益が大きいかがお分かりいだけるかと思います。
【なぜ、そんなに収益が高いのか?】
ではなぜそんなに収益が高いのかといえば、その原因はvox mundiさん(この方のサイトも面白いです。パッシブVSアクティブ運用の論争が面白くまとめられていました)が指摘してくださったので分かりましたが、割安な中小型株を買い建てるだけでなく、割高な株を空売りしているからです。こうすれば①株式市場全体の動きに関係なく超過リターン分を稼ぐことができますし、②空売りにより現金が入ってくるわけですから、レバレッジを効かすことが可能です。
しかし、「割高」「割安」というのは、話題の運用部長が思っているだけのことで、必ずしも彼が思うように株価は収束しません。現物株が投資対象ではありませんでしたが、「割高」「割安」の思惑が外れて、ベアリングという名門証券会社を潰してしまったのが、あの懐かしきニック・リーソンなのです。これだけ大きなリスクをとったおかげでこそ、納税番付1位をゲットできたのです。
>新興市場に素人か投資すること自体が正しいことなのか
これは恐らく正しくはないでしょうね。しかし、新興市場に入り込もうとする機関投資家はほとんどいませんから、実質的には素人に近い個人投資家が火遊びをてやけどしているのが現状のようです。
しかし、個人投資家でもプロクラスの人は存在しますから、そうした方にとっては、清原氏ほどはいかなくとも大きな儲けにありつけるチャンスがあるのです。昔私の母から聞いた話ですが、母の知人の主婦の方などは、主婦であり、かつ、かなりの投資家であるらしく、株式を買う判断をするにあたって、工場見学をさせてもらっていたそうです。こうした時間と努力を割くことができる方にとっては、新興市場はチャンスなのかもしれません。
>>が、コストをかければ同じ程度の情報量が得られるはずですから、機関投資家間で大きな差は出ないと思います。
>この部分は、私は疑問です。
この部分私の方が、やや言葉足らずでして。実は、児玉殿とあまり見解が変わらない気がします。コストさえかければ入手できる情報は、定量的情報でしかない。情報の質を問わなければ、情報量とコストは比例していると述べたかっただけです。
一般の個人投資家が経営者と直接面談できる機会はまず無いだろうことを考えると、「人間観察」で定性評価が出来るのは、機関投資家のアドバンテージだと考えます。それを全ての機関投資家が生かしているかどうかは、別問題でしょう。
ちなみに、個人投資家がネットなどで低コストで得られる情報は、一部の定量的情報と風説(笑)。気を付けたいです。
>社長に人格が備わっていなければ
素人からカネを巻き上げるような、随分ひどい話を、たまに耳にいたします。ただ素人(一般投資家)は、その人格と言うものを知る機会に乏しいことを考えると、新興市場に素人か投資すること自体が正しいことなのか、と考え込んでしまいます。
やすゆきさん
すみません、コメント入力の通知機能が調子悪く、コメントに気がつきませんでした。
>清原氏のこの成績は、寧ろその情報の分析力にかかっている>のではないでしょうか?
この部分は全く同感で、ご指摘の通りだと思います。
>が、コストをかければ同じ程度の情報量が得られるはずです>から、機関投資家間で大きな差は出ないと思います。
この部分は、私は疑問です。というのも、新興市場に上場している企業を判断するにあたっては、財務情報等の「定量情報」に比べて、経営者の人格等の「定性情報」のウェイトが高くなるからで、「定性情報」を判断するにあたっては、時間・コストをかければよいものではなく、「目利き」のような特殊な能力が必要とされます。清原氏の報道で、「数字の根拠を求めるでもなく、社長と世間話をして帰っていった。」といったものを見かけましたが、これは、清原氏が世間話をしたくて訪問したのではなく、社長の人柄を判断するためです。社長に人格が備わっていなければ、MSCB等の発行で、株主価値はいとも容易く毀損されてしまうのです。
Posted by: 児玉 at 2005年05月29日 16:06こんばんは。
機関投資家の得られる情報は、個人投資家なんかと比べ質量ともに潤沢であると思います。が、コストをかければ同じ程度の情報量が得られるはずですから、機関投資家間で大きな差は出ないと思います。
清原氏のこの成績は、寧ろその情報の分析力にかかっているのではないでしょうか?
やすゆきさん
コメントありがとうございます。やすゆきさんのサイトにも書き込ませていただきました。この方(清原氏)は、少なくとも2年間、驚異的なパフォーマンスを出し続けたということですからね、恐るべしです。
Posted by: 児玉 at 2005年05月23日 20:35こんばんは。
ちょっと前に株式をかじってた事がありまして(誇れるような結果は残せませんでしたが)、その時の事を思い出しながら記事を読ませていただきました。
>「割高」「割安」というのは、話題の運用部長が思っているだけのことで、必ずしも彼が思うように株価は収束しません。
ファンダメンタル分析とテクニカル分析の、神学論争に発展してしまうような気がします(笑)