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2005年05月25日

子が親の面倒を見る? ~ 西武鉄道は今なにが問題になっているのか?

本日の日経新聞3ページで、西武鉄道がまた大きく取り上げられています。以下に関連する日経ネットの報道を引用しておきましょう。

(引用始)
『西武鉄道の新社長に就任した後藤高志氏は24日、都内のホテルで記者会見をした。後藤社長は西武グループの再建について、「3月末のグループ経営改革委員会の最終答申をたたき台に、これから(外資系金融機関など)いろいろな提案があるだろうから、グループにとって最良の案を検討したい」と語り、改革委員会の答申に必ずしも固執しないとの考えを示した。』
(引用終)

当初、西武問題は堤氏のコーポレート・ガバナンスに焦点を当てた報道で、私もその線に従ったエントリーを執筆しました。(『堤義明氏のコーポレートガバナンス意識』をご参照下さい。)ここ最近の西武報道の主眼は、全く別の方向にシフトしています。実は、これはイトーヨーカ堂の持株会社統合と同じ根っこの問題で、その根本の問題とは「子会社上場」なのです。(イトーヨーカ堂については、4月に執筆した『どうして「純粋持株会社移行」で「時価総額」が向上するのか???』をご参照下さい。)
私の言葉で、本日の西武報道を要約させていただくと、今焦点になっているのは、西武の再生プランです。それには2つの方向性があり、(1)親会社のコクドと一体で再生を目指すプランと、(2)西武とコクドは切り離して考えるプランの2つです。コクドは非公開会社であり、その経営思想の根幹は「相続税の軽減」で貫かれており、そのことがコクドの財務内容を著しく悪化させたのでした。(これについては、『公開企業 VS 同族経営 西武問題』というタイトルで、今年の3月にエントリーを執筆していますので、ご参照下さい。)
さて、西武鉄道の株式の保有者の約7割はコクドですが、残りの3割はそれ以外の人々です(村上ファンドもその一人のようですね)。そして、新聞報道によれば、コクドの財務内容は悪いけれども、西武鉄道の財務内容はそれほど悪くない、といったところのようです。では、ここで質問をします。3割の西武鉄道の一般の株主にとって、(1)西武はコクドと一体で再生をするのが望ましいのでしょうか、それとも(2)西武とコクドは切り離して考えるのが望ましいのでしょうか?後者が一般株主にとって明白なのは、火を見るより明らかです。しかし、コクドに融資をした銀行にとっては、前者が望ましく、ここで株主と債権者の利害の対立が生じています。
親会社は子会社が問題を起こせば面倒をみなければなりませんが、子会社は親会社の利益を享受することはできないのですから、法人の世界では子が親の面倒を見る道理はないわけです。しかし、「子が親の面倒を見なさい」というプランを作成したのが西武グループ経営改革委員会であり、その不条理にかみついているのが村上ファンドなのです。
では、なぜこんな問題が生じてしまったかといえば、それが中途半端な子会社上場なのです。確たるポリシーもなく子会社の株式を一部上場してしまい、親会社が苦境に陥ったときに子会社株主に親会社の負担を負わせてしまうというのが、「中途半端な子会社上場」で子会社株主が強いられる代償なのです。「将来有望な子会社の株式が、あまりぱっとしない親会社との抱き合わせの株式に転換される」という点で、イトーヨーカ堂グループと西武鉄道問題は似ています。異なるのは親会社の財務内容の悪化の程度で、コクドはガタガタですが、イトーヨーカ堂本体は収益性では見劣りするものの安全性ではすこぶる健全です。むしろイトーヨーカ堂は資本のねじれを早期に解消したという点で賞賛されましたが、もとをたどれば、そもそもセブンイレブンジャパンを上場しなければよかったのです。
「子会社上場」、「公開VS同族非公開企業」「コーポレート・ガバナンス」「コンプライアンス」・・・西武鉄道問題は経営を考える上で、実に多くの深遠な問題を包含しています。(あと、深遠ではないが興味深い「渡部絵美の過去」とかも・・・)今後も西武問題からは目が離せないですね。

Posted by Ken Kodama at 2005年05月25日 10:21
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