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2005年05月31日

高い金利には要注意!

あおぞら銀行が1%台の金利の定期預金を発売するとの報道です。以下にNIKKEI NET記事を一部引用しておきましょう。

(引用始)
『あおぞら銀行は30日、金利が年1%の個人向け固定金利定期預金を6月から取り扱うと発表した。金融派生商品(デリバティブ)を活用して高めの金利を可能にした商品で、期間は8年が基本。ただし4年後に市中の金利が下がり、他の手段で資金調達した方が得だとあおぞら銀が判断した場合には、預金の満期が4年に短縮される。』
(引用終)

まず、最初にお断りしておくと、この金融商品に対するこれから述べるコメントは、新聞報道及びネット上の報道文書のみをもとにしたもので、詳しい商品情報を見ていない上でのコメントであることを、あらかじめご了承下さい。
さて、このご時世では1%の金利の定期預金は、明らかに高い金利です。そして、高い金利の背後には必ずそれなりの高いリスクが潜んでいるということを、忘れないでいただきたいのです。
NIKKEI NETの文章でもこの預金は「デリバティブ」を活用していることが明記されていますが、一般的に金利を高くするためのデリバティブというのは「オプションの売り」というものです。「オプションを売る」ということはなんらかの義務を負うことで、この定期預金を購入することになる人々は、実はオプションを売ってなんらかの義務を負うことになるわけです。つまり、買ったつもりが実は売っていた、という事態になるわけです。
そして、その背負う義務が大きければ大きいほど、オプションを売った人の手元には、当初は大きな金額が入り込み、表面的な金利が高く見えるわけです。数年前に大流行した『他社株転換社債(EB)』と呼ばれる社債は、発行体がBNPパリバのような欧州系の名門金融機関(ちなみに私の古巣です(^^ゞ)でありながら、10%近くの金利がついていました。これは常識的に考えればオカシイわけで、そのからくりも「オプションの売り」でした。EB購入者の背負った義務というのは、「ある他の会社の株(例えばトヨタ)がEBの満期時に一定の値段を下回っているときに、それより高い値段で買わねばならない」というもので、いくら天下のトヨタといえど、株式市場で3,000円の値がついているときに、4,000円で買わねばならない約束をするなんて、大抵の方は嫌がるはずです。しかし、多くの人が「欧州名門金融機関の債券」「日本の勝ち組企業」「10%の高金利」というお膳立てに目がくらみ、その結果、多くの人が大損をこいてしまったというわけです。
今回のあおぞら銀行の定期預金の利率は1%であり、高いといってもそれほどではありません。したがって、義務を背負っていることは背負っているのですが、その義務の大きさが小さいため、大して利率が高くならないのです。どういう義務かといえば「4年後の金利がある水準以下であれば、8年の満期のところを4年に短縮する」というものです。確かに4年後の金利が今よりも更に下がっていたとしたら、4年後に1%の定期預金の満期が来てしまっても、有利な運用手段がなくて困ってしまうでしょうが、EBほどの大損を出すことは考えられません。この4年後にやってくるかもしれないリスクを納得して引き受けるというのであれば、「それも一局(将棋用語です)」といったところでしょう。
先日ご紹介した吉本佳生氏著の『金融広告を読め』では、あおぞら銀行の商品とは反対の商品が紹介されています。オプションを売ることによって金利が高くなる点は同じなのですが、背負う義務が「金利が上がったら満期を延長せねばならない」というもので、全く逆方向であるといえます。吉本氏はこの商品を「恐ろしいワナを秘めた定期預金(引用)」と紹介しており、私も、まあ同感です。あまり本のネタバレをしてもクレームがくるかもしれないので、簡単に理由を言えば、インフレリスクに対抗できないからです。
高いリターンを得るためには高いリスクを覚悟せねばならず、それはどんなに知名度のある銀行の金融商品とて同じです。金融技術がいかに発展しようとも、リスクとリターンの関係は、いつの世も変わらないのです。高いリターンの背後にあるリスクが見抜けないのであれば、その金融商品に投資する資格がない、と考えて身を引いた方が賢明でしょう。

Posted by Ken Kodama at 2005年05月31日 19:57
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