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2005年06月16日

キャノンはすごい

キャノンがプリンターのインクカートリッジを生産する工場を800億円かけて大分県に建設するとの報道です。キャノンの動きに関しては当ブログで度々とりあげてきましたが、いい機会ですので、ここでその内容を振替っておきたいと思います。

キャノンの生産戦略に死角はないのか?

まず、上記のエントリーでとりあげたのは、キャノンの生産無人化の動きです。キャノンといえば、セル生産方式が成功した企業として有名だったのですが、その成功体験に満足せず、生産無人化という、より高いリスクテーキング志向の道を歩みだしたわけです。

金型内製

そして上記エントリーでとりあげたのは、いわゆる内製化の問題です。ソニー等名門企業がデジタル家電で苦しんだ、その最大の理由の一つが、部品の内製化率が低くなったことだといわれました。(詳しくは『デジタル変調と「内製化」』を参照して下さい。)そんな折、発表されたのが、キャノンによる金型の内製化でした。
そして、今回の工場設立の報道におけるキーワードの1つが、製造業の国内回帰です。今回のエントリーでは「製造業の国内回帰」という個別の問題を考えることはせず、タイトルを「キャノンはすごい」としたのは、こうした大胆な生産戦略を描ける経営陣の柔軟な思考そのものに焦点を当てたいからです。
キャノンの生産無人化の方針を「すごい」と私が思うのは、セル生産方式という人に焦点を当てた生産方式の成功体験を、ある意味否定しているからです。また、内製化や国内回帰の決断を「すごい」と私が思うのは、他の企業がコスト削減でアウトソーシングや海外生産を推し進める中、いち早くその方向性の問題点を見抜き周りの流れに左右されずに独自の決断を下したからです。「時期尚早」のツルの一言で会議が流れる、横並び志向の企業では絶対にできない決断です。
また、これら3つの生産戦略は莫大な投資を伴う、非常にリスクの高い戦略です。これほどまでに果敢にリスクテークする日本の企業を、私は他に知りません。莫大な投資でリスクテークできるその背後の理由は、①事業の選択と集中が的確で、②選び取った事業で競争に打ち勝ってきているからこそ、リスクテークできるのです。トヨタは細かいカイゼンの積み重ねであそこまで達しましたが、キャノンは大胆な自己変革で急成長し、両者のアプローチは大きく異なり、経営陣としてどちらを賞賛すべきかといえば、やはりキャノンでしょう。
最後に細かい点を一点。キャノンの営業利益の6割を消耗品が占めるとの記述が日経新聞にありましたが、これについては以下のエントリーをご参照下さい。

携帯電話とキャプティブ製品の価格設定

Posted by Ken Kodama at 2005年06月16日 20:10
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