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2005年06月20日

マックのつまずきの原因を考える

本日の日経新聞の9ページの『経営の視点』に、マクドナルドの業績の下方修正に関するコラムが掲載されています。一言でこのコラムを要約すれば、4月から導入された百円メニューは大幅な客数増をもたらしたものの、利益の増加に結びつくには至らなかった、といったところです。大幅な客数の増加については、これは当初からマックが目論んでいたことであり、4月の原田CEOのインタビューをもとに私が書いた関連エントリーがありますので、お時間がある方はそちらも参照してみて下さい。

マクドナルドは実は不動産業者???

実は私はマクドナルドのかなりヘビーユーザーでもあり(お里が知れてしまいますが・・・)、経営コンサルタントとしての立場だけではなく、顧客の視点からもマックのつまずきの原因を考えることができます。私が考えるつまずきの原因は以下の3つで、みなさんと一緒に順番に考えていきたいと思います。

①ワンコインメニューを時間限定にしなかった
4月の原田氏のインタビューで「時間帯ごとの売上高」という言葉があったことから、私はてっきりこのワンコインメニューは時間限定のものとばかり思っていました。例えば、昼時は混雑するけど、夕方4時~5時は客があまり入らない、といった情報をマックは蓄積しているでしょうから、そうした時間に限定してワンコインメニューを投入すれば、時間帯別の売上高がより平準化され、ワンコインメニューは利益の増加に貢献しえたはずです。しかし、私がマックを訪れる限りでは(といってもそんなに毎日のように行っているわけではありませんよ!)ワンコインメニューはいつでも買うことができ、店頭で割高なセットメニューの売上を奪っているのが目に付きます。

②「アーブ」が目に付きやすくなったメニュー体系
「マックのメニューには『アーブ』がある。」こう表現したのは、私がかつて勤務した金融機関の同僚です。『アーブ』というのは、『アービトラージ』の略で、いわゆる「価格のゆがみ」のことを言います。金融機関のトレーダーは「アーブ = 価格のゆがみ」をとらえて取引を行って、利益を手にしているのですが、その金融ジャーゴンをマックに使ってみたというそれだけのことですが、面白い表現だと思うので、ここに書いてみました。
「マックのアーブ」とは「ばらで買った方がセットで買うより安い」ということで、以前からマックのメニューにはアーブがありましたが、価格体系の変更によりこのアーブは、一層顧客にとって分かりやすいものとなってしまいました。なぜなら、大半のセットメニューは500円である一方、ワンコインメニューは1つ100円で、「ワンコイン × 5 = セットメニュー」という等式は、暗算が苦手な人にとっても、あまりにも明白だからです。
私自身、価格体系の改変後、マックで500円のセットを購入した試しがありません。お腹がすいているときであれば、380円のハンバーガーセットに100円のチーズバーガーを合わせて買い、合計額は480円でまだセット価格には至りません。また、小腹がすいたときは「シェークとアップルパイ」といった具合で、「200円なり」です。
『均一価格は客がメニューを選ぶ際、価格の高低で迷うストレスを解消する効果はあった。(本日の日経新聞より引用)』つまり、今回のメニュー改訂は顧客心理に着目したものですが、人間は簡単な四則演算をこなす、一応合理的な存在でもあるのだという側面を、あまりにも軽視したメニュー体系であるといえるでしょう。

③テークアウト顧客の軽視
マックにとって重要な顧客層というのは、私はテークアウトで購入する顧客だと思います。なぜなら、当然マック製品には店舗の地代コストが上乗せされていましますが、そのスペースを使用したりクーラーにあたったりすることなく、店内顧客と同じ価格で買っていってくれるからです。テークアウト顧客にとって重要な要素は、やはり味です。最近コンビニ弁当が進化を続け、味やヘルシー志向といった点でもひところとは比べ物にならないレベルまで向上したのに対して、マックは食に対するこだわりはほとんどなく、小手先のメニュー改変に終始し、新商品開発の努力を怠っています。
自らがフードビジネスの担い手であることを自覚し、食に対するこだわりをもたないことには、高い利益率をもたらすテークアウト顧客は離散してしまい、残ったのは百円シェーク片手に集団でメークを直す女子高生のみ、といったことになりかねないですよ。

Posted by Ken Kodama at 2005年06月20日 10:33
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