政府税制調査会が所得税と個人住民税の改革についての報告書を公表したとの報道です。税制調査会の報告書については、ネット上からの閲覧が可能ですので、お暇な方は下記リンクよりご覧下さい。
新聞にも書かれていますが、書かれている内容の多くは個人所得税の増税につながることが多いです。廃止、あるいは見直しがほのめかされている所得控除のうち、一般的なサラリーマンに大きな影響をもたらすと思われるものを以下に挙げてみましょう。
・給与所得控除
・退職所得控除
・配偶者控除
・特定扶養控除
これらがサラリーマンの懐具合に具体的にどれくらいの影響を与えるかの試算については、そのうち、東洋経済かダイアモンドが特集を組んでくれるでしょうから、それまで待ちましょう。
これらの所得控除を廃止、あるいは見直す根拠に関しては、報告書を読む限り、理路整然としていると思います。また、税の専門家でなくとも読みやすい文章で書いてある点については評価したいと思います。ただ、この報告書が行っているように、現行の税制の個々の問題点の羅列が、所得税課税の基礎となってよいのでしょうか?まず、最初に全体を見渡す統合的な視点があり、その上で各々のポイントを見直していくべきではないのでしょうか?
私が、今後の税制改革において必要不可欠であると考える全体的な視点とは2つです。第一には政府全体レベルでの長期的な収支予測です。増税がいくらくらい必要なのかは、歳出削減の規模に依存しますし、仮に必要増税額の見通しがたったとしても、それを法人税・所得税・消費税・・・等のどこから増やすのか、そういった全体的な視点を持たぬまま、個別論点を突いていても、場合によっては、時代錯誤的な改革になってしまう恐れすらあります。
第二は、これは所得税改革なのですから、所得の分配の視点が欠かせないという点です。私が報告書を読んで意外に感じたのは、既にひたひたと迫りつつある所得の二極分化に関して、なんら言及がなかったという点です。現行の所得控除に矛盾があるからといって、どんどん廃止していってしまったら、所得の低い層にはかなり負担感が増すはずです。このような中で、「少子化対策」と称して小金をばらまくような小手先だけの改革を行ったとしても、一向に効果がないと思います。
と、こんな批判に対する予防線なのか、報告書の1ページ目には『目指すべき個人所得税改革のグランドデザインを描いていくに当たっての主な論点を整理するものである(引用)』と記されており、この報告書自体がグランドデザインではないんだよ、との断り書きがあります。じゃあ、グランドデザインはいつ、誰が作るのでしょうか???