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2005年07月28日

コモディティビジネスと化したネット証券に出口はあるのか?

ネット証券の4~6月期の業績が発表されたとの報道が、本日の日経新聞の金融面と日経金融新聞にあった。4社が増収増益と、一見概ね好調であるが、明暗を分けたのは「手数料」のみと、ネット証券業界全体が差別化を図れない「コモディティビジネス」に成り下がってしまった感がするのが気がかりだ。
イートレード証券が大きくシェアを伸ばしたのは「低い手数料」のおかげで、逆に松井証券が減収減益となったのは「委託手数料が割高と受け止められ(日経新聞より引用)」たからであり、この業界の戦略的な変数は、もはや手数料率しか残っていないかのごとくである。ネット証券業界の末路は、暗黙的談合戦略を繰り返す鉄鋼業界のようになるのであろうか?シニカルに言えば、将来三木谷氏と松本氏は「敵対的買収」に備えて株式を持ち合う仲になるのであろうか?暗黙的談合戦略については、下記のエントリーを参照されたい。

持ち合い復活と「暗黙的談合戦略」

こうした動きに抗うための収益の多様化の策として、日経金融新聞では楽天証券の老人ホームファンドの組成の動き、及びマネックスと松井証券の主幹事業務への傾倒の動きを報じている。大垣尚司氏著の『金融アンバンドリング戦略』は、金融の機能を以下の4つの大別している。

①オリジネーション
②サービシング
③マニュファクチャリング
④リスク管理・資金調達

個人向けネット証券のビジネスモデルは①のオリジネーションにすっぽりと収まるものだが、楽天証券のファンドの組成は③のマニュファクチャリング機能への進出を意味し、引受業務への傾倒は同じ①のオリジネーションに該当するものの、法人向けの窓口を新たに構築することを必要とする。確かにネット証券は収益の多様化を図らねば、コモディティビジネスに成り下がってしまうが、異分野への進出は経営資源の分散を招き、本来の強みを活かしきれているとはいえない。他にネット証券の活性化の方策はないものか?
私にはもっとクリエイティブで魅力的な未来が、ネット証券にはあるような気がする。例えば、本日の日経新聞の17ページにはMBHの松本大氏のインタビューが掲載されているが、「我が社が主催する株式投資の講習会にはたくさんの人が押し寄せる(引用)」そうであるから、同社の会員向けにイーラーニングに仕組みで、コストを抑えて付加的なサービスを提供してみてはどうか?また、株式投資関連のブログに着目すれば、純粋な利殖目的ではなく、他人から注目を浴びたり、個人投資家同士のつながり求めたりといった、一種の自己実現を株式投資から求めようとする投資家が多いことも事実である。そうした投資家の心理に着目し、希望する投資家の投資結果を毎月ランキング表示してあげたり、投資手口やポートフォリオを公開する手段を持たせてやるような、一種のSNS的なアプローチを取り入れることも、ネット証券の魅力を大きく増すことであろう。手ごろなSNSを買収することも、一つの選択肢となるかもしれない。
上記のアイデアは私が30分近くのブレーンストーミングで出したのに過ぎず、楽天の三木谷、MBHの松本という日本の頭脳とそのチームが本気を出せば、より魅力的なネット証券像を描けることは十分可能であるはずだ。
ネット証券が推し進めた手数料率の破壊は確かに個人投資家にとって大きな恩恵をもたらした。しかし、低い手数料率でネット証券業界が潤うためには、個人投資家を回転売買を繰り返すデイトレーダーと変貌させねばならない。また、かつての大手証券会社はプリンシパル投資に活路を見出そうとし、これもまた「投資家への利益相反」という観点から社会的に望ましくないことは、WEDGEの8月号でコメントさせていただいた通りである。
私は理想主義者なので、ネット証券各社がより良い社会を本気で追求しようとすれば、自然と道は開けてくるのではないかという気がする。

Posted by Ken Kodama at 2005年07月28日 13:36
Comments

たまに来ますのでよろしくお願いします。

Posted by: Ben F. at 2006年09月06日 16:07

たまに来ますのでよろしくお願いします。

Posted by: Michael Ashford at 2006年09月06日 15:38
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