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2005年09月06日

恐らく今のユニクロに最も有害なのは・・・

今週は久々に、ほんの少し一息つけそうです。今日はオフ日のため(とはいえやらねばいけないことは山積みなのですが・・・)、ファーストリテイリングの「事業戦略」について考えてみました。本日の日経新聞は、M&Aの積極化の部分を強調して報道していますが、9月5日の「事業戦略説明会」の資料も中々面白いです。お時間のある方は、是非下記の資料をご覧になってみて下さい。

ファーストリテイリングの事業戦略

この事業戦略を読んだ私の感想は一言で言えば「ユニクロには分不相応」、もう少し丁寧に言えば「ビジョンと現状の間に到底埋めることのできないギャップがある」といったところです。
「2010年に一兆円の売上高を達成する」というあまりにもチャレンジングな目標を掲げていますが、それを実現するためのユニクロの内部経営資源(ヒト・モノ・カネ)はあまりにも不足しています。まず、「カネ」ですが、ファーストリテイリングの平成17年2月28日時点のB/Sによれば、連結ベースの総資産は約2,900億円、キャッシュは約1,000億円でM&Aに必要な4,000億円は外部から調達する必要があります。希薄化を嫌ってか、「買収資金は社債発行や銀行借入で調達する方針(日経新聞より引用)」とのことですが、近い将来の金利上昇のシナリオも見える中での、借入の増大は財務リスクを過度に増し危険です。加えて買収によりビジネスリスクも増加するわけですから、シナリオ通りに積極方針を進めれば、ファーストリテイリングは過度にリスキーな存在となってしまいます。
次に、「モノ」ですが、ユニクロ国内の売上目標は、2006年の3,800億円から2010年の6,000億円まで約1.5倍の売上増を目論んでいます。しかし、既に飽和感のあるユニクロが一体、日本国内のどこで何を売るというのでしょうか?平成17年2月28日時点のユニクロの国内店舗数は700に満たない状況ですが、「事業戦略」においては大型店200標準店1,000小型店1,000の計2,200店舗体制を目指すとしていますが、これは現店舗数の約3倍です。しかも、目標売上高の試算においては、既存店舗間のカニバリゼーションは考慮していないと、恥ずかしげもなく言い切っています。売るモノについても、商品開発の体制の強化策が掲げられるだけで、具体的なアイデアがあるようには感じられません。
しかし、ユニクロにとっての最大のネックは、やはり「ヒト」でしょう。『柳井会長は「グローバルな成長を支える人材の質、量が不足している」と明かす(日経新聞より引用)』とのことですが、恐らくユニクロがグローバルに展開するSPAを目指すにあたって最大の障害は、柳井氏自身の資質なのではないでしょうか?玉塚、沢田といった有能な人材を獲得しながら育成できなかったのは、ユニクロのトップマネジメントの層がそもそも厚くないからであり、それは柳井氏自身の資質に関わる問題だと思われます。
もちろん積極的なビジョンを掲げることはなにも悪いことではありませんが、ユニクロが仮に2010年に目標売上高の1兆円を達成したとしても、そのときにユニクロはユニクロたりえているのでしょうか?アパレルにおいてはブランドイメージやコーポレートカルチャーといったソフトな資産が極めて重要な役割を果たしますが、このまま、これほどの規模の買収を行い、人材をとっかえひっかえしていれば、2010年のユニクロは、今とはかなり異質な企業に変わり果てているはずです。誰かが柳井氏を諭す必要があると思うのですが、諭そうとすればユニクロを去る運命なのでしょう。かなりユニクロの行く末が案じられる「事業戦略」であるように、私には思えました。

Posted by Ken Kodama at 2005年09月06日 12:37
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